Macro Research Workbench

COTレポートの見方|CFTC建玉・ネットポジション・投機筋を正しく読む

COTレポートの見方|CFTC建玉・ネットポジション・投機筋を正しく読む | SG Group

Macro Research Workbench — シリーズ MR02

COTレポートの見方|CFTC建玉・ネットポジション・投機筋を正しく読む

COTレポートは、対象先物市場の建玉を参加者区分ごとに集計した米国CFTCの週次統計です。誰がどれだけ買い建て・売り建てを持っているかの分布を示すもので、価格予測や売買シグナルではありません。この記事では、火曜時点の建玉が金曜に公表される仕組み、Legacy・Disaggregated・TFFという報告種別、そしてLong・Short・Spreading・Open Interest・ネットポジションの読み方を、一貫した架空の教育用データで整理します。

  • 火曜時点の建玉→金曜公表という遅延を前提に読む
  • 報告種別とFutures Only/Combinedを混同しない
  • ネット=Long−Shortを計算し、OI比率と合わせて見る
  • 極端値の判断は長期分布へ(MR03へ接続)
読了目安約13分
更新日2026年7月14日
対象COTを初めて見る個人トレーダー
種別教育・記述的な解説

この記事の要点

  • COTは参加者区分ごとの建玉分布を示す週次統計で、価格予測や売買シグナルではない。
  • 通常は火曜時点の建玉が金曜に公表される。米国祝日で日程はずれるためCFTCの公式スケジュールで確認する。
  • 比較時は報告種別・市場コード・カテゴリ・Futures Only/Combinedをすべて揃える。
  • ネット=Long−Short。ただしネット値だけでは総建玉・両建て・集中度・市場規模が見えない。
  • 数値はすべて架空の教育用データ。実データの確認は無料ワークベンチで行える。
目次を開く
  1. COTレポートとは(結論から)
  2. いつのデータがいつ公表されるか
  3. 報告種別とFutures Only/Combined
  4. Long・Short・Spreading・OIの意味
  5. ネットポジションの計算と限界
  6. 一貫した架空例で読む
  7. COT基本計算ワークシート
  8. 解釈の限界
  9. 実務チェックリスト
  10. ワークベンチでの確認手順
  11. よくある質問
  12. まとめと次の一歩
  13. あわせて読みたい

結論

COTレポートとは何か(結論から)

COTレポート(Commitments of Traders)とは、米国の商品先物取引委員会(CFTC)が公表する、対象先物市場の建玉を参加者区分ごとに集計した週次の統計です。金・原油・通貨・株価指数・米国債など、報告基準を満たす市場について、大口参加者がどれだけの買い建玉(Long)と売り建玉(Short)を保有しているかを区分別に示します。ここで最初に押さえたいのは、COTは市場ポジショニングの分布を写した統計であり、価格の予測や売買シグナルではないという点です。

COTを「投機筋のネットポジションだけを追う指標」として使うと、多くの情報を取りこぼします。実際に読むべきは、どの報告種別のどのカテゴリで、Long・Short・Spreading・Open Interestがどう分布し、前週からどう変化したか、という構造です。ネット値はその一断面にすぎません。本記事では、公表タイミング、報告種別、各列の意味、ネットの計算と限界までを、ひとつの架空データで一貫して追いかけます。

掲載する数値・表・図はすべて教育用の架空データで、実際の市場値・予測・売買推奨ではありません。COTを含むマクロ材料を横断して整理する全体像は、マクロ分析完全ガイド(COT・金利・実質金利・EIAをつなぐリサーチ手順)にまとめています。まず全体像を押さえたい場合はそちらから読むと、本記事の位置づけがわかりやすくなります。

公表タイミング

いつのデータがいつ公表されるか

COTでまず誤解しやすいのが「新しい数字=今の状態」という思い込みです。実際には、通常火曜日の取引終了時点の建玉が集計され、同じ週の金曜日に公表されます。つまり金曜に数字を見た時点で、その内容はすでに数日前のスナップショットです。COTは速報ではなく、遅延を含んだ確認用の統計だと考えるのが正確です。

さらに、米国の祝日がある週は、観測日や公表日が後ろへずれることがあります。「毎週火曜観測・金曜公表」はあくまで通常時の目安であり、確定した日程ではありません。正確な公表日は、その都度CFTCの公式リリーススケジュールで確認する運用が安全です。下の図は、通常週の観測から公表までの流れと、祝日による例外を示した概念図です。

COTの週次タイムライン:火曜観測から金曜公表まで 月曜から金曜までの週を左から右へ並べ、火曜日を建玉の観測時点、金曜日を公表時点として強調した図。下部に、米国祝日がある週は観測日と公表日が後ろへずれる例外を注記している。数値は含まない概念図です。 通常週:火曜時点の建玉を集計し、金曜に公表する 通常営業 ◆ 建玉の観測時点 この日の建玉を集計 ▲ 公表時点 3〜4営業日前の状態 祝日例外: 米国の祝日がある週は観測日・公表日が後ろへずれる場合があります。確定日程はCFTCの公式リリーススケジュールで確認してください。
概念図通常週の観測(火)→公表(金)の流れと祝日例外。数値を含まない概念整理です。公表を見た時点でデータは数営業日前の状態である点に注意します。

この遅延は欠点ではなく、COTという統計の性質です。当日の値動きへ即座に結びつけるのではなく、数週間から数か月のポジションの偏りと変化を追う材料として使うのが本来の読み方です。時系列で複数週を並べて変化を見る手順は、COTパーセンタイル・Zスコアの記事で詳しく扱います。

報告種別

報告種別とFutures Only/Combinedを混同しない

COTには複数の「報告種別」があり、同じ市場でも区分の切り方が異なります。代表的な3種類を、対象と分類目的で整理します。区分名を機械的に「賢い資金」「ヘッジャー」へ置き換えず、定義どおりに読むことが大切です。

  • Legacy(従来型):もっとも歴史が長い区分。参加者をCommercial(当該商品のヘッジ目的と分類された参加者)とNon-Commercial(それ以外の大口=慣用的に投機筋)、およびNonreportable(報告基準未満の小口)に分けます。農産物から金融先物まで幅広く提供されます。
  • Disaggregated(分別型):主に商品市場向けに、Producer/Merchant/Processor/User、Swap Dealers、Managed Money、Other Reportablesへ細分化した区分。ヘッジの実態をより細かく見たいときに使います。
  • Traders in Financial Futures(TFF):通貨・金利・株価指数など金融先物向けに、Dealer/Intermediary、Asset Manager/Institutional、Leveraged Funds、Other Reportablesへ分類した区分です。

これに加えて、集計対象の違いとしてFutures Only(先物のみ)とFutures and Options Combined(先物+オプションをデルタ換算で合算)の2系列があります。同じ市場・同じ報告種別でも、Futures OnlyとCombinedでは数値が異なります。下の図は、報告種別(縦)と集計対象(横)の組み合わせを選ぶマップです。

報告種別と集計対象の選択マップ 縦方向にLegacy、Disaggregated、Traders in Financial Futuresの3つの報告種別、横方向にFutures OnlyとFutures and Options Combinedの2つの集計対象を並べた表形式の図。比較時は縦横の両方と市場コード、カテゴリを揃える必要があることを示す。 比較時は「報告種別」「集計対象」「市場コード」「カテゴリ」をすべて揃える Futures Only(先物のみ) Combined(先物+オプション) Legacy Commercial / Non-Commercial 同区分・オプション をデルタ換算で合算 Disaggregated Producer / Swap / Managed Money 他 同区分・合算 TFF Dealer / Asset Mgr / Leveraged Funds 他 同区分・合算 強調セル(Legacy × Futures Only)は本記事の架空例で使う組み合わせ。
概念図報告種別×集計対象の選択マップ。本記事の架空例では、強調したLegacy × Futures Only × Non-Commercialの組み合わせを一貫して使います。

要点は単純です。比較や時系列を追うときは、報告種別・市場コード・カテゴリ・Futures Only/Combinedの4つをすべて揃えること。片方の系列にもう片方の値を混ぜると、実際には変わっていないのに変化があったように見えてしまいます。複数市場を横断して比較する具体的な手順は、無料ワークベンチの使い方の節で触れます。

各列の意味

Long・Short・Spreading・Open Interestの意味

COTの各行には、参加者区分ごとに複数の列が並びます。報告仕様に沿って、主要な列の意味を整理します。

  • Long:その区分が保有する買い建玉の枚数。
  • Short:その区分が保有する売り建玉の枚数。
  • Spreading:同一区分内で買いと売りを同時に持っている(両建て)とみなされる枚数。方向性を持たない建玉で、Non-CommercialやManaged Moneyの行に現れます。
  • Open Interest(OI):決済されずに残っている建玉の総数。市場全体の規模・厚みを表します。各区分のLong・Shortの合計は、市場全体のOIの一部です。
  • Number of Traders:各区分・各サイドで報告基準を満たした参加者の数。少人数に偏っていれば集中度が高いと読めます。
  • Changes from Previous Report:前回公表分からの各列の増減。水準だけでなく「動き」を見るための列です。

Long・Short・Spreadingと総建玉(OI)の関係を、構成として図示すると次のようになります。値は後述の架空例(金・Legacy・Non-Commercial・Futures Only)と同一です。

Non-CommercialのLong・Short・Spreadingと総建玉の構成(架空の教育用データ) 総建玉54万枚を基準(100パーセント)とし、Non-CommercialのLong21万枚が38.9パーセント、Short7.8万枚が14.4パーセント、Spreading4.2万枚が7.8パーセント、ネット13.2万枚が24.4パーセントであることを、長さの異なる水平バーとラベルで示した図。すべて架空の教育用データです。 総建玉に対する各建玉の比率(金・Legacy・Non-Commercial・Futures Only) 教育用の架空データ。実際の市場データ・予測・売買推奨ではありません。 総建玉 OI 540,000枚 (100%) Long 210,000枚 / 38.9% Short 78,000枚 / 14.4% Spreading 42,000枚 / 7.8% ネット +132,000枚 / 24.4%(買い越し)
架空の教育用データ各建玉を総建玉(OI=540,000枚)に対する比率で示した構成図。バーの長さ・数値・区分ラベルを併記し、色だけに依存しません。ネットはLong−Shortで+132,000枚です。

ここで重要なのは、Spreadingは方向性を持たない建玉なので、ネット(Long−Short)には含めない一方、市場の厚みやその区分の関与度を測るときには無視できない、という点です。列の意味を取り違えると、同じ数字でもまったく違う解釈になります。

計算と限界

ネットポジションの計算と、その値だけでは見えないもの

ネットポジションは、同じ区分のLongからShortを引いた値です。記号式と、変数・単位・代入・結果・解釈を分けて示します。

ネット(枚) = Long(枚) − Short(枚)
前週差(枚) = 今週ネット − 前週ネット
OI比率(%) = 各建玉(枚) ÷ Open Interest(枚) × 100

変数の定義は次のとおりです。Long=買い建玉の枚数、Short=売り建玉の枚数、Open Interest=残存建玉の総数、いずれも単位は「枚(contracts)」です。架空例(金・Legacy・Non-Commercial・Futures Only)に代入すると、今週のネットは 210,000 − 78,000 = +132,000枚(買い越し)、前週のネットは 198,000 − 84,000 = +114,000枚、前週差は 132,000 − 114,000 = +18,000枚(買い越しが増加)です。

結果の解釈として言えるのは、「Non-Commercialの買い越しが前週より18,000枚増えた」という事実だけです。ここから価格の方向へ飛躍してはいけません。ネット値だけでは、総建玉の大きさ、両建て(Spreading)の量、参加者の集中度、市場規模が見えないからです。たとえば同じ+132,000枚でも、OIが540,000枚の市場と2,000,000枚の市場では、相対的な意味がまったく異なります。だからこそ、ネットは必ずOI比率や前週差、そして長期の分布と合わせて読みます。

「先行指標だから予測できる」「買い越しが極端だから売り」といった断定は避けてください。相関は因果を証明せず、極端値は反転を保証しません。極端さを客観的に測るには、単発の水準ではなく長期分布での位置づけ(パーセンタイルやZスコア)が必要で、これはMR03の記事の担当範囲です。本記事は、その前提となる構造と基本読解までを扱います。

一貫した架空例

一貫した架空例で複数市場を読む

下の表は、5つの市場についてのCOT行を模した架空の教育用データです。すべてLegacy・Non-Commercial・Futures Onlyで統一し、ネット=Long−Short、前週差=今週ネット−前週ネットで計算しています。金の行は本文・図・ワークシートと同一の値です。

表1:架空の教育用データによるCOT行の例(Legacy・Non-Commercial・Futures Only/実在の建玉ではありません)
市場(コード) Long Short Spreading ネット 前週ネット 前週差 OI
金(GC) 210,000 78,000 42,000 +132,000 +114,000 +18,000 540,000
WTI原油(CL) 340,000 205,000 96,000 +135,000 +147,000 −12,000 1,820,000
ユーロ(6E) 205,000 150,000 60,000 +55,000 +47,000 +8,000 720,000
円(6J) 48,000 120,000 25,000 −72,000 −67,000 −5,000 250,000
S&P500(ES) 95,000 110,000 40,000 −15,000 −18,000 +3,000 2,100,000

この表からいくつかの読み方が確認できます。金は買い越し(+132,000枚)が前週より増加、原油は買い越しのまま前週差はマイナス(買い越しの縮小)、円は売り越しが継続、S&P500は小幅な売り越しです。ただし、通貨・金属・エネルギー・株価指数ではカテゴリの定義や契約単位、市場コードが異なり得ます。株価指数や通貨、米国債は、実務ではLegacyのNon-Commercialではなく、Traders in Financial Futures(TFF)の区分で読むのが一般的です。上表は読み方を統一して示すための教育的な簡略化であり、実際の分析では市場ごとに適切な報告種別とカテゴリを選ぶ必要があります。

また、ネットの符号だけを横並びで比較しても、OIの大きさが市場ごとに違う点に注意が必要です。S&P500はOIが2,100,000枚と大きく、ネット−15,000枚はOI比で見ればごくわずかです。符号の大小ではなく、OI比率で相対化してから比べるのが安全です。

教育用ミニツール

COT基本計算ワークシート

Long・Short・Spreading・Open Interest・前週Long・前週Shortを入力すると、ネットポジション、前週差、各建玉のOI比率、そして入力合計とOIの整合警告を表示します。初期値は本記事の架空例(金・Legacy・Non-Commercial・Futures Only)です。これはCOTの読み方を確かめるための教育用の簡略ツールで、カテゴリ間の重複や報告仕様を単純化しています。売買判断や予測には使えません。

単位はすべて「枚(contracts)」。ブラウザ内だけで計算し、入力は送信・保存しません。

買い建玉の枚数

売り建玉の枚数

両建てとみなす枚数

残存建玉の総数

前回公表分の買い建玉

前回公表分の売り建玉

整合チェック:OK(Long+Short+Spreading ≦ OI)
今週ネット(Long−Short)
+132,000 枚
前週ネット
+114,000 枚
前週差(今週−前週ネット)
+18,000 枚
Long / OI
38.9%
Short / OI
14.4%
Spreading / OI
7.8%
ネット / OI
24.4%

読み方:ネットが正なら買い越し、負なら売り越し。前週差はその増減。OI比率は各建玉が市場全体に占める割合です。ネットの符号だけで方向を判断せず、OI比率・前週差・長期分布と合わせて読みます。整合チェックは、教育目的でLong+Short+SpreadingがOIを超えないかだけを簡易確認するものです。実際のCOTは複数区分の合計がOIを構成するため、区分単体では必ずしもこの関係になりません。正式な確認はワークベンチと一次情報で行ってください。

JavaScriptが無効な場合でも、初期値(Long 210,000/Short 78,000/Spreading 42,000/OI 540,000/前週Long 198,000/前週Short 84,000)に対する上記の静的な計算結果がそのまま表示されます。式は「ネット=Long−Short」「前週差=今週ネット−前週ネット」「OI比率=各建玉÷OI×100」です。

解釈の限界

解釈の限界:ネット値から価格へ飛躍しない

COTを読むうえで避けたい典型的な誤りを整理します。いずれも「1つの数値から結論を出しすぎる」ことに共通します。

  • ネット値=方向シグナルという誤読:買い越し・売り越しは分布の記述であって、価格の予告ではありません。「買い越しだから上がる」「逆相関だから売り」は成り立ちません。
  • 報告種別・集計対象の取り違え:LegacyのNon-CommercialとTFFのLeveraged Fundsは別物です。Futures OnlyとCombinedも別系列です。混ぜて比較すると変化を誤認します。
  • 区分名の言い換え:Non-Commercialを「賢い資金」、Commercialを「常に正しいヘッジャー」と決めつけないでください。分類は届出に基づく機械的な区分です。
  • 公表遅延の無視:金曜の数字は火曜時点の状態です。直近の急変は反映されていない可能性があります。
  • 単発の極端値への過信:極端かどうかは長期分布で相対化して初めて言えます。極端値は反転を保証しません。

4段階で順に確認すると、飛躍を防ぎやすくなります。次の図は、ネット値から始めて長期位置までを段階的に確認する流れです。

ネットポジションを読む4段階チェック 左から順に、ステップ1ネット値の計算、ステップ2総建玉OIとの比率、ステップ3前週差の確認、ステップ4長期分布での位置づけ、の4つの箱を矢印でつないだ図。長期位置の確認は次の記事MR03へ続くことを示す。数値を含まない概念図です。 ネット値だけで判断せず、4段階で順に確認する STEP 1 ネット値 Long − Short STEP 2 OI比率 総建玉で相対化 STEP 3 前週差 増減の方向 STEP 4 長期位置 分布で相対化 → MR03 STEP 4(長期分布での位置づけ)はパーセンタイル・Zスコアの領域で、MR03で詳述します。
概念図ネットを読む4段階チェック。本記事はSTEP 1〜3を担当し、STEP 4(長期分布での相対化)はMR03へ引き継ぎます。数値を含まない概念整理です。

実務チェックリスト

COTを読む前の実務チェックリスト

実際にCOTを開く前に、次の点を確認しておくと誤読を減らせます。

  1. 公表日と観測日:見ているのは何曜日時点の建玉か。祝日でずれていないかをCFTCの公式スケジュールで確認する。
  2. 報告種別:Legacy/Disaggregated/TFFのどれを見ているか。市場に合った区分を選んでいるか。
  3. 集計対象:Futures OnlyかFutures and Options Combinedか。時系列で混ざっていないか。
  4. 市場コードとカテゴリ:同じ市場コード・同じカテゴリで比較しているか。契約単位は揃っているか。
  5. 水準と変化:ネット値だけでなく、OI比率・前週差・Number of Tradersを合わせて見ているか。
  6. 長期位置:極端さを単発の数値で判断していないか。長期分布での位置づけ(MR03)を確認したか。
  7. 解釈の節度:1つの統計値から価格方向・売買判断へ飛躍していないか。反証条件を考えたか。

サービス利用

Macro Research WorkbenchでCOTを確認する手順

ここまでの読み方を、実データで確かめる手順を整理します。SG GroupのMacro Research Workbenchの無料プランでは、次の範囲を確認できます(最新の対応範囲はプランページでご確認ください)。

  • 主要通貨・金属・エネルギー・株価指数・米国債などのCOTについて、Long/Short/Open Interest/ネットの基本表示。
  • 52週・3年のパーセンタイルなど、水準を相対化するための基本指標。
  • 報告種別・カテゴリ・市場を揃えたうえでの横断的な確認、出典表示や共有。

長期の全履歴、5年・10年・全期間のパーセンタイル、Zスコア、1/4/13/26週の変化ランキング、複数市場ヒートマップ、ローカルのウォッチリストや保存、PDF/CSV/JSON/PNG/SVGの出力などが必要になった段階では、Pro以上のプランが対象になります。まずは無料で構造を確認し、必要が生じてから上位を検討する順序が無理のない使い方です。COTと他のマクロ材料(金利・実質金利・在庫)をつなげて見たい場合は、マクロ分析完全ガイドが全体像の入口になります。関連する個別テーマは、米国債利回りとイールドカーブの記事金利差と為替の記事金価格と実質金利の記事EIA原油在庫の記事で個別に掘り下げられます。データ改定や先読みバイアスを避ける考え方はマクロレジーム分析の記事が参考になります。

なお、Macro Research Workbenchは公開マクロデータと端末内で読み込んだデータを機械的に整理・可視化するためのもので、ロット、証拠金、取引コスト、スプレッド、スワップ、損益、売買シグナル、個別の投資助言は提供範囲外です。ポジションサイズやコストの計算が目的であれば、FX・CFDロット計算完全ガイド取引コスト計算完全ガイド、戦略の検証手順であればTradingViewバックテスト完全ガイドが該当します。日本語の学習記事全体は記事一覧から探せます。

FAQ

よくある質問

COTレポートとは何ですか?
COT(Commitments of Traders)は、米国CFTCが公表する、対象先物市場の建玉を参加者区分ごとに集計した週次統計です。誰がどれだけLongとShortを持っているかの分布を示すもので、価格の予測や売買シグナルではありません。基本的には火曜日時点の建玉が同じ週の金曜日に公表されます。市場のポジショニングを俯瞰するための材料として使うのが本来の用途です。
COTはいつのデータがいつ公表されますか?
通常は火曜日の取引終了時点の建玉が集計され、同じ週の金曜日に公表されます。つまり公表を見た時点で、データは数日前の状態です。米国の祝日がある週は集計日や公表日が後ろへずれることがあるため、正確な日程はCFTCの公式リリーススケジュールで確認してください。遅延がある統計だという前提で読むことが重要です。
ネットポジションはどう計算しますか?
ネットポジションは、同じ参加者区分のLong(買い建玉)からShort(売り建玉)を引いた値です。式はネット=Long−Shortです。たとえばNon-CommercialのLongが210,000枚、Shortが78,000枚なら、ネットは+132,000枚の買い越しです。ただしネット値だけでは総建玉、両建て、集中度、市場規模が見えないため、Open Interestや前週差と合わせて読む必要があります。
CommercialとNon-Commercialは何が違いますか?
Legacyレポートの区分で、Commercialは当該商品の現物に関連してヘッジ目的で先物を使うと分類された参加者、Non-Commercialはそれ以外の大口参加者です。慣用的にNon-Commercialは投機筋と呼ばれますが、CFTCの分類は届出に基づく機械的な区分であり、実際の意図や賢さを保証するものではありません。区分名を安易に賢い資金やヘッジャーへ置き換えず、定義どおりに扱うのが安全です。
Futures OnlyとFutures and Options Combinedの違いは?
Futures Onlyは先物の建玉だけを集計したもの、Futures and Options Combinedはオプションをデルタ換算で加えて合算したものです。同じ市場でも両者で数値は異なります。比較や時系列を追うときは、報告種別・市場コード・カテゴリに加えて、この先物のみか合算かの区別も必ず揃えてください。片方の系列にもう片方の値を混ぜると、変化の解釈を誤ります。
Open Interestはどう読めばよいですか?
Open Interest(OI)は、決済されずに残っている建玉の総数で、市場の規模と厚みを表します。ネット値が同じでも、OIが大きい市場と小さい市場では意味が違います。各区分のLong・Short・SpreadingをOIに対する比率で見ると、そのポジションが市場全体のどれくらいを占めるかがわかります。OIの増減とネットの増減を合わせて見ると、新規の建玉なのか手仕舞いなのかの手がかりになります。
COTの極端な買い越しは売りシグナルですか?
いいえ、COTの水準そのものは売買シグナルではありません。買い越しが極端に大きいことは、過去と比べてポジションが偏っている可能性を示すだけで、いつ反転するか、そもそも反転するかは決まりません。極端さを評価するには、単発の数値ではなく長期の分布での位置づけが必要です。パーセンタイルやZスコアで極端値と建玉変化を比較する方法は、続くMR03の記事で扱います。
無料ワークベンチではどの市場を確認できますか?
無料プランでは、主要通貨・金属・エネルギー・株価指数・米国債などのCOTについて、Long/Short/Open Interest/ネット、および52週・3年のパーセンタイルなどの基本表示を確認できます。報告種別やカテゴリを揃えて複数市場を横断的に見られます。長期の全履歴、5年・10年の分布、Zスコア、変化ランキング、保存・出力などが必要になった段階で上位プランを検討する流れです。最新の対応範囲はプランページで確認してください。

まとめ

まとめ:COTレポートの見方と次の一歩

COTレポートの見方の核心は、「投機筋のネットポジションだけを追う」発想から離れることです。COTは参加者区分ごとの建玉分布を示す週次統計であり、価格予測や売買シグナルではありません。読むときは、火曜観測・金曜公表という遅延を前提に、報告種別・市場コード・カテゴリ・Futures Only/Combinedを揃え、ネット(Long−Short)をOI比率・前週差と合わせて確認します。

ネット値から価格方向へ飛躍せず、極端さの判断は長期分布での位置づけに委ねる——この節度が、COTを誤読しないための最重要ポイントです。長期分布での相対化(パーセンタイル・Zスコア)と建玉変化の比較は、次の記事で具体的に扱います。

次に読む

MR03:COTパーセンタイル・Zスコアの見方|極端値と建玉変化を比較する — 本記事のネット・OI比率を、長期分布のなかで相対化する手順へ進みます。

参考資料

参考資料(一次情報)

分類の定義・公表日・方法論は、上記の一次情報で最新の記述を確認してください。ページ構成やURLは変更され得ます。