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ナンピン・ピラミッディングの平均価格と総リスク計算|追加エントリー前のリスク予算

ナンピン・ピラミッディングの平均価格と総リスク計算|追加エントリー前のリスク予算 | SG Group

Learn — ロット計算シリーズ 10

ナンピン・ピラミッディングの平均価格と総リスク計算|追加エントリー前のリスク予算

結論から言うと、ナンピンで平均価格が有利に見えても、合計lotが増えるため共通の損切りまでの総損失はむしろ増えることがあります。ナンピン リスク計算の要点は、平均価格の改善と総リスクの増加を分けて考え、追加エントリーの前に全レッグを再計算することです。本記事は、加重平均価格・レッグ別損失・総損失・合計必要証拠金・リスク予算を、単位付きの架空例とミニ計算機で確認する手順を整理します。

  • 加重平均=Σ(価格×数量)÷Σ数量を単位付きで求める
  • 総損失=各レッグ損失の合計で計算する
  • 平均価格が下がっても総リスクが増える理由を押さえる
  • 追加前にリスク予算のゲートで判断する
読了目安約13分
更新日2026年7月14日
対象追加エントリーの総リスクを把握したい人
種別教育・記述的な解説

この記事の要点

  • 加重平均価格=Σ(価格×数量)÷Σ数量。契約サイズが同じなら数量はlotのままで加重できる。
  • 各レッグの損失=|エントリー−損切り|×価値×lot。総損失=各レッグ損失の合計。
  • 平均価格が下がっても、合計lotが増えるため共通損切りまでの総損失は増えることがある。
  • 追加前に、残りリスク予算・追加後の総risk%・合計必要証拠金・ストレス時損失・撤退条件を確認する。
  • 数値はすべて架空の教育用データ。実際の契約仕様・価格ではない。
目次を開く
  1. 結論:平均価格が下がっても総リスクは増える
  2. 用語と前提:ナンピンとピラミッディング
  3. 加重平均と総損失の式
  4. 3レッグの単位付き計算例
  5. 追加1→2→3で何が変わるか
  6. 平均価格だけでは総損失を出せない
  7. 追加前のリスク予算ゲート
  8. ミニ計算機で追加前後を確認
  9. 共通・個別損切りと部分決済
  10. 日・週・月のリスク予算
  11. よくある失敗
  12. 追加前チェックリスト
  13. Pro分析からPremium継続管理へ
  14. よくある質問
  15. まとめと次の一歩
  16. あわせて読みたい

結論

結論:平均価格が下がっても、総リスクは増えることがある

ナンピン(不利方向への買い増し)で平均価格が下がると、含み損の損益分岐が近づくため「リスクが減った」と感じやすくなります。しかし、共通の損切りまでの総損失は、合計lotが増えるぶんむしろ大きくなることが一般的です。平均価格の改善と総リスクの増加は別々の指標であり、追加のたびに全レッグを再計算するのが、ナンピン リスク計算の出発点です。

この記事で使う架空例では、150.00・149.00・148.00で0.20lotずつ3回買い増すと、加重平均は150.00→149.50→149.00と改善しますが、共通損切り147.00までの総損失は60,000円→100,000円→120,000円へ増えます。平均価格だけを見て安心すると、この総損失の増加と、合計必要証拠金の増加を見落とします。取引量そのものを損切り・許容リスク・証拠金から決める全体像はFX・CFDロット計算の完全ガイドにまとめており、本記事はその応用として、複数回の追加エントリーを合算して見る方法を扱います。

以下の数値・図表はすべて架空の教育用データで、実在する価格・契約仕様・成績ではありません。金額の大小そのものではなく、式と関係の読み方を示すためのものです。特定の売買・エントリー・決済を推奨するものでもありません。

用語と前提

用語と前提:ナンピン・ピラミッディング・レッグ

式に入る前に、言葉を単位付きで整理します。定義は業者や文脈で表現が変わり得るため、ここでは一般化した教育用の定義として扱います。良し悪しや売買の推奨ではなく、どちら向きの追加でも総リスクを再計算する、という共通の手順を示すための整理です。

  • レッグ(leg):同じ方向のポジションを構成する個々のエントリー。1回目の建玉、2回目の追加…をそれぞれ1レッグと数えます。
  • ナンピン(難平・averaging down):含み損の方向へ追加して平均価格を引き下げる(買いなら下、売りなら上へ)行為。平均価格は改善しますが総lotは増えます。
  • ピラミッディング(pyramiding):含み益の方向へ追加してポジションを積み増す行為。含み益があっても、損切りを建値近辺に置けば追加分の損失が上乗せされます。
  • 加重平均エントリー(円/通貨):各レッグの価格を数量で加重した平均。Σ(価格×数量)÷Σ数量で求めます。
  • 共通損切り/個別損切り:全レッグを同じ価格で切るのが共通損切り、レッグごとに損切りを分けるのが個別損切りです。総損失の計算方法が変わります。
  • 価値(円/価格1.0あたり・1lot):価格が1.0動いたときの1lotあたりの損益額。契約サイズ×換算レートで表せます。

lot・契約サイズ・pipの関係そのものに不安があれば、先に親ガイドのロット計算の基礎を確認しておくと、以降の式が読みやすくなります。1回のトレードで口座の何%をリスクにさらすかという枠組みは1トレードあたりのリスク割合で扱っており、本記事はそれを複数レッグへ拡張します。

計算式

加重平均と総損失の式:レッグ単位で合計する

追加エントリーの計算は、2つの式が土台になります。ひとつは平均価格、もうひとつは総損失です。いずれも単位付きで示します。

加重平均エントリー[円/通貨] = Σ(価格 × lot) ÷ Σlot
合計lot = Σlot
各レッグの損失[円] = |エントリー − 損切り| × 価値 × lot
 (価値 = 契約サイズ × 換算レート)
総損失[円] = Σ 各レッグの損失
口座比[%] = 総損失 ÷ 口座基準額 × 100

ここで大切なのは、総損失を各レッグの損失の合計として求める点です。契約サイズと価値が全レッグで同じで、損切りも共通なら、加重平均×合計lotでの計算と一致します。しかし、レッグごとに損切りが違う、価値の異なる商品を混ぜる、部分決済でlotが変わる、といった場合には一致しません。安全側の習慣として、常にレッグ単位で計算して合計する方法を基本にしてください。契約サイズや価値が通貨ペアと異なる商品での考え方は必要証拠金・実効レバレッジの記事と合わせて確認すると、証拠金側の見落としも減らせます。

3レッグの価格×数量を積み上げて加重平均へ集約する図 左に3本のレッグ(150.00で0.20lot、149.00で0.20lot、148.00で0.20lot)を価格×数量の寄与として並べ、右へ矢印で合計0.60lot・加重平均149.00へ集約します。数量が等しいため加重平均は単純平均と一致し149.00になります。すべて架空の教育用データです。 レッグ1 150.00 × 0.20lot = 30.00 レッグ2 149.00 × 0.20lot = 29.80 レッグ3 148.00 × 0.20lot = 29.60 Σ(価格×lot) = 89.40 Σlot = 0.60 ÷ Σlot 加重平均エントリー 149.00 89.40 ÷ 0.60 合計 0.60lot 数量が等しいため 単純平均と一致
架空の教育用データ価格×数量の寄与を積み上げ、数量の合計で割って加重平均へ集約する流れ。値は本文・表・ミニ計算機と同一です。

単位付き計算例

3レッグの単位付き計算例:加重平均価格 計算と総損失

ひとつの架空データセットを最後まで使い回します。以下の前提は教育用の架空例で、実在の価格・契約仕様ではありません。

  • 通貨ペア:USD/JPY(口座通貨=円)、買い(ロング)方向
  • 契約サイズ:100,000通貨(1lotあたり)、換算レート:1 → 価値=100,000円/価格1.0/lot
  • レッグ1:150.00で0.20lot/レッグ2:149.00で0.20lot/レッグ3:148.00で0.20lot
  • 共通損切り:147.00/口座基準額:1,000,000円/設定レバレッジ:25倍

まず加重平均です。数量(lot)が全レッグで等しいので、加重平均は単純平均と一致します。

加重平均 = (150.00×0.20 + 149.00×0.20 + 148.00×0.20) ÷ 0.60
     = 89.40 ÷ 0.60 = 149.00[円/通貨]
合計lot = 0.20 + 0.20 + 0.20 = 0.60lot

次に、共通損切り147.00までの各レッグの損失を、|エントリー−損切り|×価値×lotで個別に求め、合計します。価値は契約サイズ100,000×換算レート1=100,000円/価格1.0/lotです。

表1:共通損切り147.00までのレッグ別損失(架空の教育用データ。価値=100,000円/価格1.0/lot)
レッグエントリーlot|エントリー−損切り|レッグ損失
レッグ1150.000.203.0060,000円
レッグ2149.000.202.0040,000円
レッグ3148.000.201.0020,000円
合計加重平均149.000.60120,000円

総損失は120,000円で、口座基準額1,000,000円に対して口座比12.0%です。検算として、共通損切りかつ価値・契約サイズが同一なので、加重平均を使った計算とも一致します:|149.00−147.00|×100,000×0.60=2.00×60,000=120,000円。合計必要証拠金は、各レッグの想定元本÷レバレッジの合計で、(150.00+149.00+148.00)×100,000×0.20÷25=8,940,000÷25=357,600円、証拠金使用率は約35.8%になります。損切り幅から数量を決める手順そのものは1・2%ルールの記事で扱っており、ここではそれを3レッグ分に合算しています。

追加の推移

追加1→2→3で何が変わるか:平均・合計lot・総損失は別々に動く

同じ架空例で、1レッグずつ足していったときの推移を並べます。着目点は、加重平均は下がる(改善する)のに、総損失と合計必要証拠金は増えるという、方向の違う3つの動きです。

追加1→2→3に伴う加重平均・合計lot・総損失の3系列の推移(架空の教育用データ) 横軸は追加段階(1本目・2本目・3本目)。加重平均は150.00から149.50、149.00へ下降します。合計lotは0.20から0.40、0.60へ上昇します。共通損切り147.00までの総損失は60,000円から100,000円、120,000円へ上昇します。平均だけが下がり、総損失と合計lotは増える様子を示します。すべて架空の教育用データです。 1本目後 2本目後 3本目後 平均150.00 149.50 149.00 ↓改善 総損失120,000 ↑増 60,000 合計lot0.60 ↑ 加重平均(実線・下降) 総損失(破線・上昇) 合計lot(点線・上昇) 相対スケール(3系列は別軸の概念表示)
架空の教育用データ3系列の推移。加重平均(緑・実線)は下降し、総損失(紺・破線)と合計lot(赤・点線)は上昇します。線種と符号で区別し、色だけに依存しません。値は下表と同一です。
表2:追加ごとの加重平均・合計lot・共通損切り147.00までの総損失・口座比・合計必要証拠金(架空の教育用データ)
段階追加レッグ合計lot加重平均総損失口座比合計必要証拠金
1本目後150.00 / 0.200.20150.0060,000円6.0%120,000円
2本目後+149.00 / 0.200.40149.50100,000円10.0%239,200円
3本目後+148.00 / 0.200.60149.00120,000円12.0%357,600円
(仮)4本目+147.50 / 0.200.80148.63130,000円13.0%475,600円

加重平均は150.00から149.00へ改善しても、共通損切り147.00までの総損失は60,000円から120,000円へ倍増し、合計必要証拠金も120,000円から357,600円へ増えます。仮の4本目を足すと、平均は148.63へさらに下がりますが、総損失は130,000円(13.0%)、必要証拠金は475,600円へと増え続けます。「平均が下がった=安全になった」ではないことが、この表の核心です。

よくある誤差

平均価格だけでは総損失を出せないケース

共通損切りで、契約サイズと価値が全レッグ同じなら、加重平均×合計lotとレッグ別合計は一致します。ところが、レッグごとに損切りを分けると一致しなくなります。同じ3レッグに、浅めの個別損切りを置いた別シナリオで比べます。

表3:個別損切りを置いた場合のレッグ別損失(架空の教育用データ。表1とは損切りの置き方が異なる別シナリオ)
レッグエントリーlot個別損切り|エントリー−損切り|レッグ損失
レッグ1150.000.20148.501.5030,000円
レッグ2149.000.20148.001.0020,000円
レッグ3148.000.20147.500.5010,000円
合計加重平均149.000.6060,000円

このシナリオのレッグ別合計は60,000円です。ところが、加重平均149.00に単一の損切り147.00を当てはめる簡便法だと、|149.00−147.00|×100,000×0.60=120,000円となり、実際の2倍にずれてしまいます。個別損切りではレッグごとに切る距離が違うため、平均価格に1つの損切りを当てるだけでは正しい総損失になりません。契約サイズや価値の異なる商品を混ぜたときも同様です。迷ったらレッグ単位で計算して合計する——これが誤差を避ける基本手順です。複数の建玉を横断して合算・偏りを見る一般的な枠組みは複数ポジションの合算リスク計算で扱います。

リスク予算ゲート

追加前のリスク予算ゲート:残余予算で判断する

追加するかどうかを、平均価格の見え方ではなく残っているリスク予算で判断する考え方です。ここでは月間のリスク予算を口座の15.0%(150,000円)と決めた架空例で、2レッグ(想定損失10.0%)から3レッグ目を足すかを検討します。予算の水準は規則や保証ではなく、自分で決める運用上の枠です。

月間リスク予算に対する使用済み・現在の想定損失・追加分・残余のゲート図 月間リスク予算は口座の15.0%(150,000円)。すでに確定した損失が3.0%(30,000円)、2レッグの現在の想定損失が10.0%(100,000円)を占め、残余予算は2.0%(20,000円)です。3レッグ目を足すと想定損失が12.0%へ上がり追加で2.0%を要するため、予算をちょうど使い切ります。さらに窓開けのストレスでは15.0%を超え予算超過になります。すべて架空の教育用データです。 月間リスク予算 15.0%(150,000円)に対する内訳 確定3.0% 現在の想定損失(2レッグ)10.0%=100,000円 残2.0% 3レッグ目を追加した場合 確定3.0% 想定損失 12.0%=120,000円 +2.0% → 追加後の残余予算 = 15.0% − 3.0% − 12.0% = 0.0%(予算を使い切る) ⚠ 窓開けストレス:損切り147.00→146.50で総損失150,000円(15.0%)= 予算超過
架空の教育用データリスク予算ゲート。現在10.0%+確定3.0%で残余は2.0%。3レッグ目(総損失12.0%)で予算をちょうど使い切り、窓開けストレスでは超過します。合否判定ではなく、追加前に残余で確認する手順です。

この例では、3レッグ目を足すと総損失が12.0%へ上がり、確定済み3.0%と合わせて予算15.0%をちょうど使い切ります。つまり、平均価格の改善を根拠に足すのではなく、「残り2.0%の予算に、追加で必要な2.0%が収まるか」で判断する、という順序です。さらに、損切り147.00が窓開けで146.50に滑ると、0.50×100,000×0.60=30,000円が上乗せされ総損失は150,000円(15.0%)となり、予算を超えます。損切りは指定価格での約定を保証しないため、ストレス時の超過も追加前に見ておく必要があります。

確認手順

ミニ計算機で追加前後を確認する

ここまでの式は、SG Groupの無料ロット計算機に自分の条件を入力すれば、単一ポジションの想定損失・必要証拠金として確認できます。複数レッグの加重平均・総リスクの合算はProの領域ですが、まずは下の教育用ミニ計算機で、追加前後の平均価格と総損失の動きを体感してください。4本目に仮のレッグを入れると、追加によって平均と総損失がどう変わるかを比較できます。発注の提案はしません。JavaScriptが無効でも、直後の静的な計算表で同じ入力例・式・答えを確認できます。

追加ポジション教育計算(入力はブラウザ内で完結し、送信・保存はしません。4本目は仮のシナリオ用です)

レッグエントリー価格数量(lot) レッグ1
レッグ2
レッグ3
レッグ4(仮)
通貨/lot
1lotあたりの数量。業者・口座で異なります。
×係数
価値=契約サイズ×換算レート。円建て価格なら1。
価格
全レッグを切る共通の損切り価格。損失側に置きます。
口座比・使用率の分母(残高または有効証拠金)。
合計必要証拠金の計算に使う上限倍率。0より大きく。
% 口座比
期間内に取ってよい損失の上限(自分で決める枠)。
% 口座比
今月すでに確定した損失の口座比。
合計lot0.60 lot
加重平均エントリー149.00
レッグ別損失60,000 / 40,000 / 20,000円
総損失(共通損切りまで)120,000円
口座比12.0%
合計必要証拠金 / 使用率357,600円 / 35.8%
リスク予算の残余0.0%(0円)

式:加重平均=Σ(価格×lot)÷Σlot、各レッグ損失=|価格−147.00|×100,000×lot、総損失=Σレッグ損失、残余=予算15.0%−使用3.0%−口座比。

未考慮:スプレッド・手数料・スワップ・評価損益・部分決済・ロスカット・窓開けやスリッページによる超過は含みません。共通損切りで全レッグを切る前提の概算です。単純化のため実ツールや業者仕様と異なる場合があります。無料ロット計算機で契約仕様を含めて再確認してください。

表4:ミニ計算機の初期値と同じ静的な計算例(JavaScript無効時のフォールバック・架空の教育用データ。4本目lot=0で3レッグ)
項目式と代入答え
合計lot0.20 + 0.20 + 0.200.60 lot
加重平均(150.00×0.20+149.00×0.20+148.00×0.20) ÷ 0.60149.00
レッグ別損失3.00×100,000×0.20 / 2.00×… / 1.00×…60,000 / 40,000 / 20,000円
総損失60,000 + 40,000 + 20,000120,000円
口座比120,000 ÷ 1,000,000 × 10012.0%
合計必要証拠金(150.00+149.00+148.00)×100,000×0.20 ÷ 25357,600円
リスク予算の残余15.0% − 3.0% − 12.0%0.0%(0円)

4本目に価格147.50・0.20lotを入れて試すと、加重平均は148.63へ下がる一方、総損失は130,000円(13.0%)へ増え、予算の残余はマイナスになります。平均だけを見て「まだ足せる」と判断しないための、追加前後の比較として使ってください。

損切りの置き方

共通損切り・個別損切り・部分決済の計算上の違い

損切りの置き方と決済の仕方で、総損失の計算方法は変わります。それぞれの扱いを整理します。

  • 共通損切り:全レッグを同じ価格で切る前提。各レッグの損失=|エントリー−共通損切り|×価値×lotを合計します。本記事の主例(表1・表2)はこの方式です。
  • 個別損切り:レッグごとに損切り価格が異なる。必ずレッグ単位で損失を出してから合計します(表3)。平均価格に単一の損切りを当てる簡便法は使えません。
  • 部分決済:一部レッグや一部lotを先に決済すると、残ったポジションの合計lotと加重平均が変わります。決済のたびに残レッグで平均と総損失を計算し直します。

シナリオが増えるほど、頭の中だけで管理するのは難しくなります。共通損切りの場合・個別損切りの場合・部分決済後の場合を、それぞれ別のシナリオとして保存し、追加や決済のたびに更新するのが実務的です。証拠金側でそもそも建てられるか(合計必要証拠金と使用率)の確認は必要証拠金・実効レバレッジの記事と合わせて行うと、損失側と証拠金側の両面を押さえられます。

期間の予算

日・週・月のリスク予算と、逸脱を検出する考え方

リスク予算 トレードの発想は、1回ごとの損切りだけでなく、一定期間に取ってよい損失の上限を先に決めておくことです。たとえば、1日・1週間・1か月それぞれに許容損失の枠を口座比で置き、そこから確定済みの損失と現在の建玉の想定損失を引いて、残りの範囲でのみ追加や新規を検討します。前掲のゲート図は、この月間予算の一例でした。

予算管理でとくに見たいのは、いつもの運用から外れる逸脱のサインです。予定になかった追加、通常より大きいlot、いつもより高い証拠金使用率、短期間での連続エントリーは、予算を早く消費しがちです。こうした「いつもと違う」動きを、数量・証拠金・予算消費のいずれかの指標で早めに気づけるようにしておくと、平均価格の改善に引きずられた過剰な追加を抑えやすくなります。割合の水準は規則や保証ではなく、自分で決める運用上の枠である点は変わりません。戦略そのものの損失特性や連敗の起きやすさを検証したい場合は、戦略の堅牢性を検証するラボの考え方も参考になります。

回避

よくある失敗と回避のしかた

追加エントリー ロット計算まわりの誤りは、いくつかの型に集約されます。心当たりがあれば、その項目が見直しの入口です。

  • 平均価格の改善を安全と誤解:平均が下がったことを「リスクが減った」と解釈する。共通損切りまでの総損失は合計lotの増加で増えることが多い。
  • 平均価格に単一損切りを当てる:個別損切りや価値の違う商品を混ぜたのに、加重平均×合計lotで済ませる。レッグ単位で合計する。
  • 含み益・含み損をクッションと過信:確定していない損益を前提に追加する。損切りまでの総損失は評価損益と別に計算する。
  • 合計必要証拠金の増加を見落とす:追加のたびに証拠金も積み上がる。数量・証拠金・予算のどれで先に上限に当たるかを確認する。
  • リスク予算を決めずに追加:残余予算の概念がないため、際限なく買い増してしまう。期間の枠を先に決める。
  • ストップの約定を保証と誤解:窓開け・急変・流動性低下で損切り価格を超えて滑る可能性を織り込まない。ストレス時の損失も見る。

追加前チェックリスト

追加エントリー前の実務チェックリスト

次の項目を、追加の前に一度ずつ確認します。合否や売買判断を出すものではなく、総リスクの見落としを減らすための手順です。

  • 加重平均と合計lotを、追加後の値で計算し直したか。
  • 共通損切り(または個別損切り)までの総損失を、レッグ単位で合計したか。
  • 追加後の総risk%が、決めておいた期間のリスク予算の残余に収まるか。
  • 合計必要証拠金と証拠金使用率が、口座基準額に対して無理のない範囲か。
  • 同一通貨・同一指数など共通因子への偏りが強くなっていないか。
  • 窓開け・スリッページで損切りを超えて滑ったときの損失(ストレス)を見たか。
  • どこで追加をやめるか、どこで撤退するかの条件を、追加前に決めているか。
  • 契約サイズ・最小lot・レバレッジ・証拠金率を、利用する業者の公式仕様で確認したか。

段階

Pro分析からPremium継続管理へ:確認できる範囲の段階

この記事の単発の想定損失は無料の範囲で確認できます。複数レッグの平均価格・総リスクをまとめて分析する段階、さらに継続的にリスク予算を管理する段階へと、課題が出てきた地点で上位の機能を検討する、という設計です。機能名・提供範囲・料金は変わり得るため、最新はプランページを唯一の正としてご確認ください。

無料・Pro・Premiumで確認できる範囲のワークフロー図 左から無料(単一ポジションの想定損失・必要証拠金)、Pro(複数レッグの加重平均・総リスク、共通因子の偏り、基本的な維持率分析)、Premium(暗号化Vaultと専用ダッシュボード、リスク予算、ルールコンパス、いつもと違うサイン、トレード記録、窓開け・スリッページ込みストレステスト)へと確認範囲が広がる3段階の概念図です。 無料 単一ポジション 想定損失・必要証拠金 逆算確認 結果コピー・共有 Pro 複数レッグの加重平均 総リスク・共通因子偏り 仕様管理 基本的な維持率分析 Premium Vault・専用ダッシュボード リスク予算・ルールコンパス いつもと違うサイン・記録 ストレステスト 確認範囲は左から右へ広がる(機能・範囲は現行プランページが唯一の正)
概念図確認範囲の段階。単発の想定損失は無料、複数レッグの平均価格・総リスク分析はPro、Vault・リスク予算・ストレステストを含む継続管理はPremiumの領域という整理です。数値は含みません。
無料

単発を確認する

  • 単一ポジションの想定損失・リスク率
  • 必要証拠金・使用率・実効レバレッジ
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複数レッグを分析する

  • 複数レッグの加重平均・総リスク
  • 共通因子への偏り・相関リスク
  • 銘柄別・ブローカー別の仕様管理
Premium

継続して管理する

  • 暗号化Vault・専用ダッシュボード
  • リスク予算・ルールコンパス・いつもと違うサイン
  • ストレステスト・トレード記録

複数の建玉をまとめて見る合算リスク・相関・通貨偏りの一般的な考え方は複数ポジションの合算リスク計算で解説しています。単発の確認で足りるうちは、無料の範囲で十分です。

FAQ

よくある質問

ナンピン後の平均価格はどう計算しますか?
加重平均価格は、各レッグの「価格×数量」を合計し、それを「数量の合計」で割って求めます。式は加重平均=Σ(価格×lot)÷Σlotです。例として150.00で0.20lot、149.00で0.20lot、148.00で0.20lotを買い増した場合、(150.00×0.20+149.00×0.20+148.00×0.20)÷0.60=149.00が加重平均です。契約サイズが全レッグで同じなら数量はlotのままで計算できますが、異なる商品を混ぜる場合は契約サイズや価値をそろえてから加重します。
ナンピンすると損切りリスクは減りますか?
平均価格は下がっても、共通の損切りまでの総損失はむしろ増えることが一般的です。買い増しで合計lotが増えるため、同じ損切り価格に対して失う金額の合計は大きくなります。架空例では平均価格が150.00→149.50→149.00と改善する一方、共通損切り147.00までの総損失は60,000円→100,000円→120,000円と増えました。平均価格の改善と総リスクの増加は別々の指標なので、追加のたびに総損失を計算し直してください。
ピラミッディングの総リスクはどう計算しますか?
ピラミッディング(利益方向への買い増し)でも計算は同じで、各レッグの損失=|エントリー−損切り|×価値×lotを合計します。含み益があっても、損切りを建値より下に置いていれば追加分だけ損切りまでの距離と数量が増え、総損失は大きくなり得ます。含み益は確定していない限りクッションとして当てにせず、共通損切りまでの総損失と合計必要証拠金を、追加前にレッグ単位で再計算することが前提です。
平均価格から総損失を求めれば十分ですか?
共通の損切りで、全レッグの契約サイズと価値が同じ場合に限り、加重平均×合計lotでの計算と、レッグ別損失の合計は一致します。しかし、レッグごとに損切りが違う場合、契約サイズや価値が違う商品を混ぜた場合、部分決済でlotが変わった場合には一致しません。これらの場面では平均価格だけで計算すると誤差が出るため、各レッグの損失を個別に計算して合計する方法を基本にしてください。
共通損切りと個別損切りはどう計算しますか?
共通損切りは、全レッグを同じ価格で決済する前提で、各レッグの損失=|エントリー−共通損切り|×価値×lotを合計します。個別損切りは、レッグごとに損切り価格が異なるため、必ずレッグ単位で損失を出してから合計します。架空例では、共通損切り147.00での総損失が120,000円だったのに対し、レッグ別に浅い損切りを置いた別例では60,000円になり、平均価格に単一の損切りを当てはめる簡便法とはずれました。損切りの置き方で総損失は変わるため、シナリオを分けて保存すると混乱しにくくなります。
追加エントリー前に何を確認しますか?
追加の前に、残っているリスク予算、追加後の総risk%、合計必要証拠金、共通因子への偏り、ストレス時の損失、撤退条件の6点を確認します。特に、平均価格の改善に気を取られて総損失の増加を見落とさないことが重要です。架空例では、2レッグで想定損失10.0%のときに月間リスク予算の残りが2.0%しかなく、3レッグ目を足すと総損失が12.0%へ上がって予算を使い切る、という関係を追加前に把握できました。数量・証拠金・予算のいずれかで先に上限に当たらないかを確認してください。
日・週・月のリスク予算とは?
リスク予算は、一定期間に取ってよい損失の上限をあらかじめ金額または口座比で決めておく考え方です。たとえば月間の許容損失を口座の一定割合と決め、そこから確定済みの損失と現在の建玉の想定損失を引いて、残りの予算内でのみ追加や新規を検討します。予定外の追加、通常より大きいlot、いつもより高い証拠金使用率は、予算を早く消費するサインになります。割合の水準は規則や保証ではなく、自分で決める運用上の枠であり、業者や相場が保証するものではありません。
Premium版のVaultとリスク予算は何に使いますか?
継続的な管理が必要になった段階で、暗号化Vaultと専用ダッシュボードに口座・銘柄・シナリオをまとめ、リスク予算やルールコンパス、いつもと違うサインで日々の逸脱を検出する用途です。単発のナンピン計算は無料の計算機やProの平均価格・総リスク分析で確認できますが、複数口座や継続的な予算管理、急変・窓開け・スリッページを含むストレステスト、トレード記録の蓄積までは継続管理の領域になります。機能名と提供範囲は変わり得るため、最新はプランページでご確認ください。

まとめ

まとめ:ナンピン リスク計算と次の一歩

ナンピンやピラミッディングでは、加重平均=Σ(価格×数量)÷Σ数量で平均価格を求め、総損失=各レッグ損失の合計で総リスクを求めます。要点は、平均価格が下がっても合計lotが増えるため、共通損切りまでの総損失と合計必要証拠金はむしろ増えることがある、という点です。平均の改善と総リスクの増加は別々に見てください。

実務では、(1)追加後の加重平均と合計lotを計算し直す、(2)損切りまでの総損失をレッグ単位で合計する、(3)追加後の総risk%が期間のリスク予算の残余に収まるか確認する、(4)合計必要証拠金と使用率を見る、(5)窓開け・スリッページのストレスと撤退条件を決める——この5点を押さえれば、平均価格の改善に引きずられた過剰な追加を抑えやすくなります。

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