欧州・北中南米市場分析 – 本日の市場分析・解説 l 2026年10月22日

SG Group · 2026年10月22日

株高と物価負担は、なぜ同時に続くのか

対象取引日:米国現地2026年10月21日。情報基準:2026年10月22日5:35(日本時間)。米国株の確定終値と米英9月物価を出発点に、収益・費用・資金のつながりを整理します。

1.米国株の上昇を、指数の違いから読む

S&P 5007,757.17 / +0.58% [2][3]
ダウ平均52,856.09 / +0.69% [2][4]
ナスダック総合26,702.86 / +1.05% [2][5]

本号は日本時間2026年10月22日刊行、米国現地10月21日の取引を対象とします。米国の通常取引は東部夏時間16時、日本時間22日5時に終了しました。情報の基準は日本時間5時35分です。日々動く市場価格と、9月を対象にした経済統計は別の時点を表します。市場価格が新しいからといって、統計の対象期間まで新しくなったわけではありません。[1]

確定終値はS&P500が7757.17で前日比44.60ポイント高、0.58%上昇。ダウ平均は52856.09で360.21ポイント高、0.69%上昇。ナスダック総合は26702.86で278.04ポイント高、1.05%上昇でした。APの終了後集計と、終了後時刻が付いた各現物指数の相場表示で数値を照合しています。ここでいうナスダックは総合指数であり、ナスダック100や先物ではありません。[2][3][4][5]

三指数がそろって上昇しても、同じ市場を三回測っているわけではありません。採用される企業群、業種の構成、価格を集計する方法が異なります。指数間の騰落率の違いは、その日の評価が市場のどこに強く現れたかを理解する入口です。ただし指数だけを見て、上昇した銘柄数や投資家の参加範囲を確定することはできません。指数の上昇と市場全体の広がりは、関係はあっても同義ではないからです。

株価指数は経済全体の成績表でもありません。上場企業の収益には海外事業が含まれ、国内で働く家計の所得だけを写しているわけではありません。反対に、家計や小規模な非上場事業者にとって重要な費用が、指数には小さくしか表れない場合もあります。米国株が上昇したという事実を、そのまま米国のすべての家計が豊かになったという説明へ置き換えることはできません。

また、株価は今期の利益だけでなく、その先の利益や資金調達費用への期待にも左右されます。同じ売上高でも、どれだけ利益として残るか、その利益が何年間続くと考えられるかで評価は異なります。長い期間にわたる収益を現在の価値に換算する際には、金利や不確実性を反映する割引率が関わります。売上の拡大、利益率の改善、割引率の低下は異なる要素であり、上昇した株価だけから一つに決められません。

日々の報道では決算を受けた反応が取り上げられますが、「予想を上回った」と「前年より増えた」も別の比較です。事前の予想が低ければ、前年より弱い結果でも予想比では良好となる場合があります。逆に業績が伸びても、期待ほどでなければ市場の評価が下がることがあります。本稿では個別企業の評価に踏み込まず、市場全体を見るうえで、この比較軸の違いを明確にします。

価格変化を読むときには、ポイントと割合の使い分けも必要です。ダウの360ポイントとS&P500の44ポイントは、指数の水準や尺度が違うため、そのまま大きさを比べられません。同じ指数の前日終値を分母にした騰落率であれば、一日の相対的な変化を比較できます。それでも、値動きの大きさから経済への影響の大きさまで直ちに判断することはできません。

終値は一日の最後に成立した集計であって、当日のすべての情報を一つの原因に分解したものではありません。取引中には異なる材料が重なり、売買の動機も投資家ごとに違います。終値の方向と、同日に出たニュースの方向が一致していても、それだけで因果関係を証明したことにはなりません。市場の結果と、その結果を説明する仮説を区別することは、金融情報を読む基本になります。

本日の主題は、株価の上昇と物価負担が同時に存在する経済の読み方です。米国の9月物価統計は10月14日公表、英国の9月物価統計は10月21日公表でした。対象月が同じでも情報が市場に届いた時刻は異なります。今日の米国株を、今日発表されたわけではない米国物価だけで説明するのではなく、既知の経済環境と当日の市場結果を分けて整理します。[6][7]

この整理は、株高を否定するためでも、物価の問題を過小評価するためでもありません。株式を通じて評価される収益、生活に必要な支出、企業の費用、金融政策は、接点を持ちながら別々の測定対象です。まず何が観測されたのかを明確にし、その後に仕組みを理解する順序を守ることで、一つの数字に経済全体の意味を背負わせずに済みます。

指数の値には配当の扱いにも違いがあります。価格指数の一日変化を、配当を再投資した資産の収益率と同じに扱うことはできません。さらに海外の投資家が自国通貨で評価する際には、為替変動が加わります。本号の騰落率は各現物指数の公表値に基づく前日比較であり、特定の投資家が実際に受け取る損益を示したものではありません。

取引の終了時刻を過ぎたことだけでも数値は確定しません。締めの集計や訂正が反映されるまで、表示が変わることがあります。本号は終了直後の一時点の表示を固定せず、終了後の集計と一致する値を採用しました。情報を早く読むことと、その情報が何を表すかを確かめることは、両立させる必要があります。

2.米国9月物価を、総合と内訳で理解する

表はこの領域を横にスクロールできます。

9月物価の比較:前年同月比、定義は国別 [6][7]
対象 総合 除外指数と定義
米国 3.7% 2.6%:食品・エネルギー除外
英国 3.5% 2.8%:食品・エネルギー・酒類・たばこ除外

米労働統計局が10月14日に公表した9月の消費者物価指数では、総合指数の前月比は季節調整済みで0.6%、前年同月比は季節調整前で3.7%でした。食品とエネルギーを除く指数は前月比0.3%、前年同月比2.6%です。総合と除外指数は別々の物価ではなく、同じ消費支出の範囲を異なる切り口で集計したものです。[6]

前月比は、直近一か月の動きを捉えるために役立ちます。一方、前年同月比は一年前の水準を比較対象にします。前年の価格が大きく動いていれば、足元の変化が小さくても前年比が変わります。前年比が高いことだけから直近月の値上がりが加速したとはいえず、前月比が低いことだけから一年を通じた負担が軽くなったともいえません。

季節調整は、毎年繰り返されやすい変動を統計的に取り除き、景気や物価の基調を読みやすくする処理です。調整済みの前月比と調整前の前年比を同じ資料で並べること自体は問題ありませんが、計算の前提は記しておく必要があります。季節調整は経済の現実を修正する操作ではなく、比較をしやすくする方法です。実際に家計が払った金額とは役割が異なります。

食品とエネルギーを除く指数は、生活にそれらが不要であることを意味しません。短期的に大きく動く品目の影響を分けることで、それ以外の価格変化を読み取るための集計です。家計にとっての負担を見る場面では、総合指数や実際の支出構成も重要です。基調を読むための指標と、暮らしの実感を説明する指標を競わせる必要はなく、目的に応じて併用します。

今回の総合と除外指数の差は、費用の広がりを考える入口ですが、二つの前年比を単純に引いた差がエネルギーの寄与度になるわけではありません。除外した項目の構成比や、それぞれの価格変化が異なるからです。寄与度は全体の変化に対して各項目がどれだけ関わったかを表すもので、個別項目の上昇率とは別の数量です。大きく上昇した項目が、必ず最大の寄与を持つとは限りません。

物価上昇率が下がることと、物価の水準が下がることも区別します。前年より価格が高いまま、上昇の速度だけが鈍ることがあります。その場合、家計の負担が元に戻ったわけではありません。逆に一部の価格が下がっていても、別の支出が増えれば、家計全体の支払額は増える場合があります。物価指標は一定の比較方法に基づく集計であり、個人の請求書の合計そのものではありません。

同じ物価環境でも、家計への影響は支出構成で違います。住居、移動、食事、医療などの比率は、住む場所、世帯人数、働き方によって変わります。所得が同じ割合で増えた場合でも、削りにくい支出が多い世帯と選択的な支出が多い世帯では余裕が異なります。平均値は全体を比べるうえで必要ですが、全員が平均的な生活をしているという意味ではありません。

企業側から見ると、販売価格と仕入価格は別々に動きます。売上高が増えていても、原材料や輸送、賃金、借入利息の負担がそれ以上に増えれば、利益として残る部分は小さくなります。反対に販売数量が横ばいでも費用が落ち着けば利益率が改善する場合があります。消費者物価の数字を、そのまま企業利益率の数字として読むことはできません。

ここで重要なのは、名目と実質の区別です。名目の支出額は価格と数量の両方を含みます。実質の数量や活動を知るためには、適切な価格指標で調整する必要があります。ただし、何にでも総合消費者物価を当てはめればよいわけではありません。設備、輸出品、サービスなど対象が異なる場合には、対応する価格の範囲も異なります。異なる統計を組み合わせる際には、対象が重なっているかが先決です。

物価を読むためのもう一つの基本は、月々の変化を機械的に未来へ延ばさないことです。一か月の上昇率を年率に換算すると、同じ変化が一年続いた仮定を示せますが、それは予測ではありません。季節要因や一時的な供給変化、価格改定の集中で月次値は振れます。単月の数字を使うときは、観測された期間と仮定している期間を分ける必要があります。

本日の表は、米国と英国の9月物価をそれぞれの定義のまま並べています。国際比較では、同じ名称の指数でも対象世帯、住宅費、税や料金の扱い、支出の重みが完全には一致しません。したがって、上昇率の大小だけで生活費の絶対的な高さを順位付けすることはできません。比較表の役割は優劣を決めることではなく、どの統計が何を測ったかを見失わないようにすることです。

平均価格の変化と、同じ商品の価格の変化も混同できません。消費者が高価格帯から低価格帯へ購入を移せば、購入額の平均が下がることがありますが、それだけで各商品の値札が下がったとはいえません。価格指数、平均購入単価、実際の販売額は別の問いに答える数字です。何を比較したいかによって、適した統計を選ぶ必要があります。

公表された指数の小数点以下の桁数にも注意します。四捨五入した値から変化率を計算すると、公表された変化率とわずかにずれる場合があります。それを直ちに矛盾と扱わず、計算に使う精度を確認します。大きな経済的意味を論じる前に、単位、丸め方、対象期間をそろえることが、数字の誤読を防ぎます。

3.費用の増加が、利益と家計へ届く仕組み

費用の上昇は、仕入先から企業、企業から家計へ一直線に同じ割合で移るわけではありません。企業が価格を変えられる時期、契約の長さ、在庫の量、競争相手の動き、顧客の支払能力が間に入ります。最終的な販売価格を読むには、費用が発生した時点と、その費用を価格へ反映できる時点の違いを理解する必要があります。

例えば仕入価格が上がっても、以前に購入した在庫を販売している間は、売上原価への影響が遅れる場合があります。その一方、次の仕入れに必要な現金はすでに増えているかもしれません。会計上の利益と手元資金の変化が同時に表れないことがあるのは、このためです。利益が出ていることと、資金繰りに余裕があることは密接に関係しますが、同じ状態ではありません。

売上代金を回収するまでの期間も重要です。仕入れの支払いが先、販売代金の回収が後なら、その間を埋める資金が必要になります。価格が上がると、同じ数量の取引でも必要な運転資金が大きくなる場合があります。借入金利の変化は、この時間差を支える費用に関わります。物価の問題が金利の問題につながるのは、将来の設備投資だけでなく日常の取引にも資金が必要だからです。

価格転嫁とは費用の増加を販売価格へ移すことですが、転嫁率だけで経営状態は決まりません。値上げによって販売数量が減れば、売上全体や固定費の回収に影響します。反対に価格を据え置いて数量を維持する場合でも、利益率が下がることがあります。価格、数量、単位当たり費用、固定費を分けると、単なる値上げの有無よりも事業の動きを説明しやすくなります。

需要に対する価格の影響は、品目によって異なります。代替品が多い商品と、短期的には購入を減らしにくいサービスでは、同じ値上げへの反応が違います。ここでいう代替には、別の商品へ切り替えることだけでなく、購入の時期を遅らせることや、利用頻度を減らすことも含まれます。支出額が維持されていても、消費者が受け取る数量や質が変わっている可能性があります。

家計にとっては、必需的な支出と選択できる支出の配分が変化します。家賃や通勤などをすぐに減らせないとき、別の支出を調整することがあります。これは総支出だけでは見えにくい構成の変化です。特定の分野で売上が伸びたことを、家計全体の余裕が増したと解釈するには、その支出が何を押しのけたかも考える必要があります。

賃金はこの関係の両側にあります。働く人には収入ですが、雇用する側には費用です。賃金が上がることは消費を支える一方、生産性や販売価格が変わらなければ企業の負担にもなります。労働時間当たりの生産量や付加価値が増えれば、賃金と利益が同時に伸びる余地があります。賃金の伸びだけを見て、物価への影響や企業収益への影響を一方向に決めることはできません。

生産性の改善と単なる人員削減も同じではありません。生産性は投入した資源に対する産出の関係であり、人員が減ったという事実だけでは判断できません。産出量も同時に減っている場合や、外部委託への移行で費用の区分が変わる場合があります。技術投資についても、導入費用、稼働までの期間、保守、教育を含めて考えることで、目先の支出と長期の効率を区別できます。

米連邦準備制度の10月ベージュブックは、地域の企業などから聞き取った状況をまとめる資料です。10月14日公表分の情報収集期限は10月5日であり、10月21日の取引結果を説明する速報ではありません。統計の平均とは違う角度から、価格設定や需要の強弱を知る補助になります。ただし、聞き取りの内容をそのまま全国の企業の比率へ換算してはいけません。[8]

統計と聞き取りを並べる意義は、一方で他方を置き換えることではありません。統計は定義をそろえて量を測り、聞き取りはその背後にある行動や制約を理解する手掛かりになります。集計値が動いていないときにも、価格を据え置く工夫や、契約の変更などが進んでいる場合があります。見えない変化があると決めつけるのではなく、資料ごとの得意な範囲を尊重します。

株式市場で利益への期待が改善しているときにも、こうした費用と支出の関係は残ります。市場の評価は将来へ向かい、家計の請求や企業の支払いは現在の契約に基づきます。この時間差を理解すると、株価が上昇する一方で生活費の負担感が続くという組合せを、単純な矛盾として片付けずに読めます。両者は異なる経路と時間軸で経済を映しています。

固定費と変動費を分けると、数量の変化が利益へ与える影響も理解できます。数量が減っても短期に減らせない費用があれば、一単位当たりの負担は増えます。一方、数量に応じて減らせる費用が多ければ影響は異なります。同じ売上減少率でも利益の変化が違うのは、この費用構造や契約の違いによる場合があります。

値引きや販売促進は、表示価格だけでは見えにくい要素です。定価が変わらなくても、割引の頻度や付属サービスが変われば、実際の取引条件は変わります。これらを確かめず、定価の据え置きを需要の安定と読み替えることはできません。価格に加え、売る数量と条件を確認するという考え方は、家計側の購買行動を理解する際にも共通します。

4.政策金利と市場金利を混同しない

連邦公開市場委員会は9月16日、フェデラルファンド金利の誘導目標レンジを0.25ポイント引き上げ、3.75〜4.00%としました。これは9月に決まった政策の記録です。10月21日に新たな利上げがあったという意味ではありません。政策の決定日と、そこから影響を受け続ける市場の観測日を区別して扱います。[9]

政策金利は金融市場のすべての金利を直接指定する数字ではありません。長期国債、企業の借入、住宅ローンには、それぞれ期間や返済能力、流動性、担保などの条件が反映されます。同じ政策金利の下でも、資金を借りる主体が違えば支払う金利は異なります。政策が据え置かれていても、将来への予想や信用への評価が変われば、市場の調達条件は動きます。

長期金利には、将来の短期金利に対する見方に加え、長期間資金を固定することへの対価が含まれます。そのため、長期金利の変化を一つの政策予想だけで説明するのは十分ではありません。物価の不確実性や債券の需給なども関わります。本号では確認していない当日の国債利回りを数値として掲げず、株価と金利を結びつける際に必要な仕組みを説明します。

名目金利と実質金利の区別も欠かせません。名目金利は契約に示される利息の割合ですが、実質的な負担を考えるときは物価の変化との関係が重要になります。ただし現在の物価上昇率を、期間の異なる金利から引けば将来の実質金利が分かるわけではありません。将来の購買力を考える計算には、その期間の予想物価が必要です。実績と予想を混ぜないことが基本です。

借入が固定金利か変動金利かによって、影響が表れる速さも違います。固定金利の既存契約は市場金利が変わっても、契約条件が同じなら直ちに利払いが変わるわけではありません。変動金利では、見直しの時点と参照金利が重要です。新規の借入と、すでに抱えている借入を一括りにすると、金融政策が家計や企業へ届く時間差を見誤ります。

借り換えでは、金利だけでなく元本の返済時期や条件が変わることがあります。毎月の返済額が小さくなっても、返済期間が長くなれば総利払いが増える場合があります。逆に返済を急げば総利払いは抑えられても、当面の現金の余裕は小さくなります。資金負担を比較する際には、月々の支払い、総額、期間を分けて考えなければなりません。

企業価値の説明で使われる割引率は、こうした金利の世界とつながっています。将来得られる同じ金額でも、受け取るまでの期間が長く、確実性が低いほど現在の評価は変わりやすくなります。これは長期の事業を否定する考え方ではなく、時間と不確実性を価値の計算に含める方法です。利益の増加と割引率の上昇が同時に起きれば、株価の方向はどちらか一方だけでは決まりません。

信用の条件には、金利以外の要素もあります。借入可能額、担保、返済条項、審査の厳しさ、取引の相手が応じるかどうかです。金利が同じでも、借りられる額が減れば実行できる計画は変わります。表面上の価格だけでなく、資金へのアクセスそのものが活動を制約する場合があります。金融条件を理解する際には、金利と数量の両面が必要です。

家計と企業は同じ金利変化に同じように反応するわけでもありません。預金を持つ側には受取利息の増加があり、借入を抱える側には支払負担が生じます。企業でも手元資金の量や借入の満期構成が違います。したがって、金利が上がると全員の支出が同じ割合で減るという説明は正確ではありません。経済全体では、所得の移転や時間差が重なります。

また、物価が高いときの政策判断は、足元の価格だけではなく需要、雇用、期待、供給制約などを含みます。供給が不足している問題と、需要が強い問題では、政策が働く経路が違います。政策の説明を読む際には、決定された金利と、当局が示した理由と、今後の見通しを分けます。市場参加者の予想を、政策当局の確約として紹介しないことも重要です。

本日の株価上昇は、以上の仕組みがなくなったという意味ではありません。企業の収益への評価と資金調達条件は、ともに価値に関わる別の軸です。ひとつの市場が上がったから金融条件全体が緩んだと断言せず、どの条件が、誰にとって、いつ変化したのかを整理することで、同じ日の金融ニュースをより正確に位置付けられます。

利回りの変化を表すベーシスポイントは、1単位が0.01パーセントポイントです。例えば25ベーシスポイントは0.25ポイントであり、金利が25%増えたという意味ではありません。水準の差と元の水準に対する比率を区別すると、政策変更や借入条件のニュースで数字の大きさを取り違えずに済みます。

金利の説明では、税や手数料を含むかどうかも重要です。公表された基準金利と、実際の契約で負担する総費用は一致しないことがあります。国際比較でも契約の条件をそろえる必要があります。本号は市場の仕組みを解説するものであり、個別の借入や金融商品の適否を判断するための契約条件を提示するものではありません。

5.欧州と北中南米を結ぶ物価・通貨・貿易

英国の9月消費者物価指数は10月21日に公表され、前年同月比3.5%と8月の3.1%から上昇しました。食品、エネルギー、酒類、たばこを除く指数は2.8%、サービスは3.7%でした。米国の9月統計と対象月は同じですが、指数の範囲と発表日は異なります。英国の数字を欧州全体の数字として扱わず、比較の対象を限定します。[7]

国際的な物価比較では、共通する費用と国内固有の仕組みを分ける必要があります。原材料や輸送の費用は国境を越えて関わりますが、税、料金制度、契約、流通、賃金の決め方は国ごとに違います。同じ国際価格の変化でも、消費者が店頭で払う価格への反映は同時・同率にはなりません。国際的な原因があることと、各国の結果が同じであることは別です。

為替はこの間に入る換算の経路です。輸入品の外貨価格が同じでも、自国通貨で払う額は為替によって変わります。逆に自国通貨の動きが輸出の売上換算へ影響しても、輸出数量が同じように動くとは限りません。契約がどの通貨で結ばれているか、価格をいつ見直すか、為替予約などでどの期間を固定しているかによって、実際の影響は違います。

通貨の上昇は輸入費用を抑える方向に働き得ますが、すべての企業に同じ恩恵を与えるわけではありません。輸出の外貨収入を自国通貨へ換算する側では、別の影響が生じます。輸入と輸出の両方を行う事業では、その組合せが重要です。通貨の強弱に良い・悪いという一つのラベルを貼るより、どの取引の支払いと受取りに関わるかを分ける方が実務的です。

北米では、米国だけでなくカナダとメキシコを含む生産と需要のつながりがあります。ただし本号では、これらの国の当日株価や政策金利を未確認のまま追加しません。地域の関係を説明することと、すべての市場について当日の数値を掲載することは別です。貿易を読む場合も、輸出額、数量、価格、国内で生まれた付加価値が同じではない点を押さえます。

製品が複数の国で加工される場合、国境を通過するたびに貿易額へ計上されることがあります。最終的な販売額だけでなく、途中の部品や材料の動きも含まれるため、総額と国内の所得の関係は単純ではありません。米国の需要が海外へ伝わる経路を説明する際にも、最終消費に近い取引と、中間財の取引を区別する必要があります。

中米についても、ひとつの均質な市場と考えないことが大切です。観光、物流、製造、農産物など、海外との接点は国や地域によって異なります。輸入費用、訪問客の支出、海外からの所得の流れは、それぞれ別の統計で測ります。本号では国別の未確認の数量や順位を置かず、米国の需要と金融条件を読む際に、こうした経路の区別が必要であることを説明します。

南米については、資源の輸出収入と国内の費用負担が同時に存在し得る点が重要です。原材料を輸出する部門に収入があっても、燃料や機械などを購入する部門には負担が生じる場合があります。資源価格の上昇を、地域全体の家計所得の改善と同一視できません。また、外貨建ての取引がある場合には、販売価格だけでなく通貨と返済条件も関わります。

貿易収支と企業利益、政府の財政収支も別のものです。輸出収入が増えたことは、政府の手元資金が同額増えたことを意味しません。税の仕組み、企業の所有、費用や投資、所得の分配を通じて結び付きます。国の集計と企業、家計の状態をつなぐには、途中の制度や時間差を省略しないことが必要です。

地域をまたぐ比較では、時差も情報の一部です。欧州の取引が終わった後にも米国市場は動き、その後に発表された材料は欧州の同日終値には反映されていない場合があります。同じ日付の終値を横に並べても、そこまでに得られた情報は必ずしも同じではありません。相場の同時比較を行うなら、現地日付だけでなく観測時刻をそろえる必要があります。

以上を踏まえると、本日の無料部分で確認できる中心は、米国三指数の上昇、米英9月物価の異なる内訳、そして収益と費用をつなぐ金融の仕組みです。これらは景気や市場の将来を一つに決める結論ではありません。何を測った数字なのか、どの期間の情報なのか、価格と数量、名目と実質、国内と海外のどこに位置するのかを明確にすることが、その先の理解の土台になります。

物流の費用にも複数の層があります。国際的な運賃だけでなく、保険、港湾、保管、国内輸送、納期の長さが最終費用に関わります。納期が長くなれば販売までに資金が拘束される期間も変わります。物理的な輸送の問題が、金融の負担と結び付くことを理解すると、貿易額だけでは説明できない企業の事情が見えてきます。

ただし経路を知っていることは、その経路で今日実際に変化が起きた証拠ではありません。仕組みの解説と、観測された出来事の報告は分けます。本号で数値を掲げた資料には出典を付け、国別の最新値を確認していない箇所では一般的な関係として記しました。知られていない部分を強い言葉で埋めないことも、地域比較の重要な条件です。

本日の市場の要点

米国三指数は上昇しましたが、株価、家計の購買力、企業の費用は別の測定対象です。物価の総合と内訳、名目と実質、政策金利と実際の調達条件を分けることが、同日のニュースを理解する土台になります。

無料部分の参考資料

  1. NYSE:営業日と取引時間
  2. AP:2026年10月21日の米国株確定終値
  3. Google Finance:S&P 500、10月21日終了後
  4. Google Finance:ダウ平均、10月21日終了後
  5. Google Finance:ナスダック総合、10月21日終了後
  6. 米労働統計局:2026年9月消費者物価、10月14日公表
  7. 英国統計局:2026年9月消費者物価、10月21日公表
  8. 米連邦準備制度:2026年10月ベージュブック
  9. 米連邦準備制度:2026年9月16日FOMC声明

本稿はSG Groupによる一般情報・教育目的の市場解説です。金融商品の売買、保有、配分を勧める投資助言や勧誘ではありません。統計は改定され、条件付き分析は将来の結果を保証しません。

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