アジア市場分析 – 本日の市場分析・解説 l 2026年10月24日

SG Group · 2026-10-24

株価の下落と生産の増加を、同じ時間で読まない

対象週:2026年10月19〜23日。情報基準:10月24日12時(日本時間)。日本の最新完了取引日:10月23日。土曜日の当日現物終値はありません。日本株、日本の9月物価、中国の7〜9月期生産を、それぞれの期間と定義で振り返ります。

1.週末の数字を、週全体の変化として読み直す

日経平均・10月23日終値 [2][3]62,693.16円/前日比−0.34%
TOPIX・10月23日終値 [3][4]3,965.81/前日比−0.79%
日経平均・前週末比 [2]−4.03%(10月16日終値比、SG Group計算)

本号は2026年10月24日刊行、対象は10月19日から23日までの取引週です。日本時間24日正午を情報基準時とし、日本の現物株価は23日の完了した取引を扱います。土曜日の東京市場に当日終値はありません。画面に残る金曜日の数字は、土曜日の新たな売買結果ではなく、最後に成立した取引日の情報です。時間を区別することは、週末のニュースをすでに市場が評価したかのように説明しないためにも重要です。[1]

日経平均の23日終値は62,693円16銭で、22日から214円68銭、0.34%下落しました。TOPIXは3,965.81で、前日比31.69ポイント、0.79%の下落です。日経平均は指数提供元の履歴と読売新聞の引け後報道が一致し、TOPIXも読売新聞とDZHの引け後報道で同じ値を確認できます。いずれも現物指数であり、夜間の先物や差金決済取引の価格とは分けて扱います。[2][3][4]

一日の結果だけでは、今回の週の特徴は十分に見えません。日経平均は前週末16日の65,324円29銭に対して2,631円13銭低く、終値同士で計算した週間騰落率は約マイナス4.03%です。この比較の起点は月曜日の始値ではありません。前の週の取引終了時点から、今回の週の終了時点までに指数水準がどう変わったかを測っています。配当を加えた総収益率でもなく、個々の保有資産の損益でもありません。[2]

今週の日経平均は、月曜日が64,916円70銭、火曜日が64,075円42銭、水曜日が64,621円24銭、木曜日が62,907円84銭、金曜日が62,693円16銭でした。水曜日には前日から戻したものの、それだけで週全体の下落が解消したわけではありません。途中の反発と週末までの変化を同時に見ると、毎日の上げ下げを一方向の物語へ単純化せずに済みます。[2]

ここで、週間の下落率を五つの日次騰落率の単純な合計と同じものと考えないことが大切です。日ごとの変化率は、それぞれ異なる前日終値を分母としています。正確な期間変化は、期末の値を期初の値で割った比率から求めます。途中で下がってから同じ割合だけ上がっても、一般には最初の水準に戻りません。変化率の計算と金額の差は別の情報であり、どちらか一方を使えばもう一方が不要になるわけではありません。

また、二つの株価指数は同じ日本市場を見ていても、構成と計算方法が違います。日経平均の一日の下落率がTOPIXより小さいことから、すべての業種や企業が同じ程度に持ち直したとは言えません。指数は集約した数字であり、値動きの広がり、取引された金額、業種ごとの方向を一つですべて表すものではないからです。今週の読み方でも、指数の位置と市場内部の広がりを別の問いとして残します。

週末に整理したいもう一つの点は、価格の下落と経済活動の減少を同じ意味で使わないことです。株価は将来の収益、金利、不確実性などへの評価を含みます。一方、国内総生産や物価は、それぞれ一定期間の生産や価格を統計としてまとめたものです。四半期の生産が増えていても株価が下がることはあり、それだけでどちらかの数字が誤りだとは判断できません。期待の変化と観測された活動には時間差があります。

今週は、中国の7〜9月期の生産に関する公表と、日本の9月の消費者物価の公表がありました。前者は数か月の活動、後者は一か月の価格を扱い、株価の週間変動とは観測対象が違います。公表日が同じ週に入ることは、すべての対象期間が同じであることを意味しません。統計の数字を価格のすぐ横に置くときほど、その数字が何月、何四半期の事実なのかを明記する必要があります。[5][6]

この区別は、情報の新しさを評価するときにも役立ちます。公表されたばかりの統計でも、実際に測った活動は数週間前かもしれません。他方、市場価格は新しい時点の取引結果であっても、将来を完全に見通した答えではありません。新しいものが常に正しく、古い対象期間のものが無意味という関係ではなく、異なる時間を照らす資料として組み合わせることが必要です。

週の最終日に下げ幅を縮めたという事実を使う場合も、何との比較かを確認します。日中の安値から戻したこと、前日終値を上回ったこと、前週末を上回ったことは三つの別の条件です。今回の金曜日は日経平均の終値が前日を下回っており、週間でも下落しています。日中の持ち直しを、そのまま週間の回復と呼ぶと、比較の基準が途中で変わってしまいます。[2][3]

したがって本号の出発点は、日本株の週間下落を確認しながら、それを直ちにアジア全体の生産縮小や需要崩壊と読み替えないことです。無料部分では、物価、生産、取引日と公表日の違いを整理します。それぞれの数字を正しい範囲で理解することが、単一の見出しに引きずられず今週の市場を振り返るための土台になります。

2.日本の物価、三つの指数は何を取り除いているのか

表はこの領域を横にスクロールできます。

日本の2026年9月消費者物価、10月23日公表 [5]
系列 指数(2025年=100) 前年同月比
総合 102.2 +2.1%
生鮮食品を除く総合 102.3 +2.1%
生鮮食品及びエネルギーを除く総合 102.8 +2.4%

10月23日に公表された日本の9月消費者物価指数では、総合の前年同月比が2.1%、生鮮食品を除く総合が2.1%、生鮮食品及びエネルギーを除く総合が2.4%でした。指数水準は2025年を100として、それぞれ102.2、102.3、102.8です。発表されたのは9月の結果であり、10月の家計の支払いを直接測った値ではありません。今週の材料として新しいことと、対象期間が今週であることを区別します。[5]

三つの指数の違いは、正しい数字を一つ選び、それ以外を捨てるためのものではありません。総合は消費の幅広い範囲を示し、生鮮食品を除く系列はその変動の影響を外した範囲を示します。さらにエネルギーを除いた系列は、別の対象集合になります。同じ月について見ていても、含む品目と重みが異なるので、数字が違うこと自体は矛盾ではありません。どの問題を考えたいかに応じて、適切な範囲を選ぶ必要があります。

家計の負担を考える場合、実際に買う食料や使うエネルギーは、指数から除かれたからといって支出から消えるわけではありません。変動の大きい品目を除く指標は、別の部分の値動きを見やすくしますが、それだけで暮らしの負担を代表することはできません。一方、総合だけを見て、どの部分で持続的な価格変化が起きているかをすべて説明することもできません。家計の支出と基調の観測では、問いが異なります。

前年同月比は、前年の同じ月の価格を分母とします。そのため、今月の価格が前月から変わらなくても、比較する前年の価格次第で上昇率が変わります。反対に、前年同月比が同じでも、直近の月ごとの動きが同じとは限りません。今回の三つの前年同月比だけを根拠に、9月の前月比が加速した、あるいは減速したとは言えません。月次の動きを論じるには、それに対応する系列と調整方法を別に見る必要があります。

指数水準と変化率も役割が違います。2025年を100とする指数が102.2であることは、その基準で価格水準を表したものです。それに対して前年同月比2.1%は、2025年9月との比較です。基準年の平均と前年の同じ月は同じ観測点ではないので、102.2から100を引いた値を、そのまま今回の前年同月比と説明してはいけません。基準の置き方を確かめるだけでも、見かけの小さな不一致を誤りと決めつけずに済みます。

今回、生鮮食品及びエネルギーを除く系列の上昇率は総合より高くなっています。しかし、その差の0.3ポイントを、エネルギーだけの寄与度と呼ぶことはできません。対象を除いた系列では重みも変わり、生鮮食品の扱いも関わります。ある品目が総合を何ポイント押し上げたか、押し下げたかという質問には、寄与度の資料が必要です。二つの上昇率の単純な差は、同じ意味を持ちません。

同様に、生鮮食品を除く指数を「食料をすべて除いた指数」と言い換えるのも不適切です。加工食品など、残る食料があります。海外の指標を比べるときには、同じコアという呼び方でも除外範囲が異なる場合があります。名前が似ていることより、何が含まれ何が含まれないかを先に確認する方が、比較の精度は高まります。見出しの翻訳だけでは、統計の定義まで一致したことにはなりません。

企業の側から見ると、販売価格の上昇と利益の増加も同義ではありません。仕入れ、物流、賃金、賃料などの負担が同時に増えれば、売上高が増えても利益の余地が広がらないことがあります。逆に投入費用が落ち着けば、販売価格が同じでも採算が変わる可能性があります。消費者物価は家計が買う品目の価格の指標であり、企業のすべての費用や利益率を直接示す統計ではないことを押さえます。

家計側でも、平均の物価と個々の実感には差が生まれます。住居費の比率が大きい家計、交通費が多い家計、食料への支出が多い家計では、同じ価格変化から受ける影響が異なります。この違いは、平均統計が不要であることを意味しません。全体を同じ方法で継続して測る役割と、個別の支出構成を説明する役割が別なのです。平均を使うときには、代表できる範囲を狭くも広くもしすぎないことが重要です。

物価と購買力をつなぐには、所得の情報も必要です。価格だけが分かっても、賃金やその他の所得がどのように変化したかは分かりません。名目所得が増えていても、それを上回る価格上昇があれば、同じ量を買う余裕が増えたとは言えません。他方、家計の人数や就業時間の変化も支出余力に関わります。物価の数字一つから消費量や生活水準まで結論づけることは避けます。

金融政策との関係も、物価が一定の数字になれば機械的に一つの政策が決まるという読み方では捉えられません。持続性、賃金、需要、供給要因、期待などの組合せが問題になります。本号では今回の統計を、政策決定がすでに行われた証拠として扱いません。発表された物価の事実と、それを踏まえた政策の見方は、読者に分かる形で分けておく必要があります。

今週の物価材料から直接確認できるのは、対象が9月であること、三つの系列の定義が違うこと、前年同月比と指数水準がそれぞれ示されたことです。ここまでを明確にしたうえで、価格がどの経路で家計や企業に伝わるかを考えます。値の大小だけでなく、比較対象と対象品目を揃えることが、週の株価変動と物価統計を無理なく併せて読むための基本になります。

3.中国の生産増加と、アジアの需要をつなぐまで

中国国家統計局が今週公表した結果では、2026年1〜9月の国内総生産は実質で前年同期比4.6%増加しました。7〜9月期だけでは前年同期比4.5%増、前期比1.2%増です。これらは同じ比較を違う表現にした数字ではありません。累計の前年同期比、単独四半期の前年同期比、直前の四半期との比較という三つの時間軸があります。公表された数字を並べるときも、この違いを残します。[6]

国内総生産は、一定期間に国内で生み出された付加価値を集計する考え方です。販売額をすべて足すだけでは、中間段階の取引を重ねて数えることになります。材料を加工して部品を作り、その部品を使って製品を作る場合、各段階で新しく生まれた価値を捉えることが重要です。したがって、ある企業の売上高の伸びと、経済全体の付加価値の伸びは同じものではありません。

実質の伸びは、価格変化の影響を調整して経済活動を測ろうとする指標です。一方、名目の金額はその時点の価格で評価された規模を表します。名目の金額から実質の変化率を直接読み取ることはできず、両者を混ぜて計算すると、生産の量と価格の変化が分からなくなります。海外から見た通貨換算後の金額には、さらに為替変動も関わります。通貨を換えた規模の増減を、そのまま国内の実質成長率と呼ぶことはできません。

また、中国の国内生産が増えたという事実は、外国から買う数量が同じ割合で増えたことを意味しません。生産に使う材料を国内で調達する場合と輸入する場合では、海外への需要の伝わり方が違います。製品が国内で消費されるか、輸出されるか、在庫になるかによっても、他国が受け取る経済的な影響は変わります。生産の増加からアジアの輸出の増加までには、確認すべき中間の段階があります。

この経路は、需要の発生、注文、製造、輸送、販売、代金回収という順に分けると理解しやすくなります。新しい注文が入った時点と、実際に製品が国境を越えた時点は一致しません。前から受けていた注文を今月出荷している場合もあります。輸出が増えた月に新規注文も増えたと決めつけると、需要が先に変化していた可能性を見落とします。受注と出荷を区別することには、景気の時間差を読む意味があります。

在庫も重要です。最終販売が増えなくても、企業が在庫を積み増せば生産が増えることがあります。反対に、販売が続いていても、手元の在庫を取り崩して対応すれば生産が伸びない場合があります。在庫の増加をすべて悪いと見たり、すべて先行きへの自信と見たりするのは適切ではありません。予定した積み増しか、売れ残りによる増加かで意味が違い、その判別には販売、受注、在庫の組合せが必要です。

アジアの各地域への波及を考えるときは、取引する品目の性質も分けます。原材料、部品、設備、消費財では、最終需要との距離や契約の期間が異なります。設備需要は一度の大きな注文に左右される場合があり、消費財は家計の購買力や在庫循環の影響を受けます。素材は数量に加えて国際価格の変化が金額を大きく動かします。すべてを中国関連という一つの分類に入れると、異なる経路が見えなくなります。

今回の国内総生産は初期の推計として公表された数字であり、後に資料が増えれば改定される可能性があります。改定は直ちに不正確さの証明ではなく、早く全体像を示すことと、十分な情報で精度を上げることの時間差を反映する場合があります。最初の数字を使う際には、その時点で分かっていた範囲を明示します。後の確定情報を、当初から予見できていた材料のように扱わないことも大切です。[6]

前年同期比と前期比の違いは、転換点を考えるうえでも役立ちます。前年同期比は一年前との距離を示す一方、直近の変化を捉えるには前期比の情報が必要になります。ただし、季節性の扱い、推計方法、改定の影響を無視した比較はできません。一つの四半期の前期比をそのまま一年間繰り返すと仮定することは、計算上の換算であって、その通りの成長が実現する予測ではありません。

日本との関係でも、中国全体の生産の伸びと日本からの受注増加を直結させることは避けます。現地調達への切替、供給者の入替、需要品目の変化があれば、全体の経済活動と特定の貿易経路は違う動きをします。地域全体の指標は背景を把握するために有用ですが、取引の具体的な方向は、対応する貿易や生産の資料で確認する必要があります。国内総生産だけで全経路の結果は決まりません。

同じ理由で、中国の成長率と日本株の週間騰落率を直接比較して、片方がもう片方に追いつくべきだと考えることはできません。生産の伸びは過去の活動を集計し、株価は期待や不確実性も含む取引価格です。さらに市場の構成も国民経済そのものとは異なります。両方を読む価値は、数字が一致するかを探すことではなく、異なる側面がどの条件でつながるかを理解することにあります。

今週の中国の公表値は、アジアの活動を考える重要な出発点です。しかし、それを地域全体の需要回復という結論に変える前に、国内と海外、数量と価格、受注と出荷、販売と在庫を分けます。この四つの区別を持つことで、生産の増加がどこで所得や発注につながり、どこではまだ確認されていないかを整理できます。無料部分で押さえるべきなのは、この経路の読み方です。

4.取引週と統計の時間をそろえる

10月19〜23日の振り返りでは、出来事が公表された順序と、それが測っている経済活動の順序を分ける必要があります。月曜日の中国の経済公表は7〜9月期などを含み、金曜日の日本の物価公表は9月を対象としました。株式市場の価格は、その間の各取引日の結果です。これらを一枚の時系列に置く場合、横に並んでいるから同じ期間の出来事だと受け取られないようにします。[5][6]

まず、公表日時は、その情報を市場参加者が広く利用できるようになった時点です。対象期間は、統計が実際に調べた活動の時間です。さらに、後の改定があれば、その公表時点も別に存在します。この三つを分けると、今週の株価が何を受けて動いた可能性があるかを考える際に、まだ公表されていなかった数字を原因に使う誤りを減らせます。ただし、時間的に先に出た情報が、必ず価格変化の原因というわけでもありません。

日々の市場には複数の材料が重なります。統計、政策に関する発言、海外市場、資金調達条件、持ち高の調整などが同じ日に起きる場合、終値の変化だけから寄与を正確に切り分けることは困難です。発表の直後に反応があっても、その後の変化には別の情報が入ります。一日全体を一つのニュースだけで説明すると、説明の分かりやすさと引き換えに、確認できない因果を強く言いすぎることになります。

この点で、今週水曜日の日経平均の反発は、木曜日と金曜日の下落を打ち消すものではありません。日次の列を確認することで、週の途中に方向の異なる日があったことを保てます。週末同士の比較だけでは、どの日に変化が集中したかは見えません。他方、毎日の細かな変化だけを追うと、週全体の水準変化を見失います。期間のまとめと経路の確認は、どちらも必要で、代わり合うものではありません。[2]

国境を越えると、時差が加わります。日本の金曜日の現物市場が終わった後にも、欧州や米州では取引が続く時間があります。そこで生じたニュースや価格変化は、日本の金曜日の終値にすべて反映されているとは言えません。週末に海外の完了値を読む場合は、それが日本の取引終了より前か後かを確認します。日付の表記が同じでも、情報が利用可能になった順序は同じとは限りません。

休場日の扱いにも同じ原則があります。日本は土曜日に現物株式の通常取引を行わず、上海と香港の通常取引も平日を対象としています。台湾では取引所の公表により10月24〜26日が休場となっています。市場ごとに休場の根拠と対象日があり、ある地域が休みだから別の地域も必ず同じ日まで休みとは限りません。週末の比較では、各地域の最後の取引日を揃えられるかが重要です。[1][7][8][9]

韓国、豪州、インド、シンガポールを含めて他地域を見る場合も、通常の現物取引と特別な取引、先物の夜間取引を混同しません。システムの試験や翌営業日に向けた注文受付があっても、一般に比較する現物指数の新しい終値が成立したとは限りません。取引所の対象市場の制度を確認し、確認できていない価格を表の空欄を埋めるためだけに使わないことが必要です。

統計の月も市場の日付とは違うリズムで進みます。9月の物価が10月に公表される一方、10月の取引価格には、まだ確定していない将来の物価や需要への見方が含まれます。後から統計が出たときには、価格の動きと同じ方向だったかだけでなく、当時どの情報が分かっていたかを振り返ります。そうしなければ、事後的にもっともらしい説明を作ることはできても、当時の不確実性を理解することはできません。

比較の時間を揃えるには、すべてを無理に同じ日へ変換する必要はありません。変換できないものを明示し、違う期間として扱う方が正確な場合があります。四半期の数字を毎日の値に分けたように見せたり、休日に前日の価格を当日値として埋めたりすると、情報が増えたように見えても、新しい観測が生まれたわけではありません。見やすさのための表示と、実際の観測を分けます。

また、速報と確定という言葉は、資料によって意味が異なります。市場が終了したこと、指数提供元が日次の値を掲載したこと、統計が最終的に改定されなくなったことは別です。相場の確定値を扱う場合にも、対象取引日と指数名が一致しているかが先に必要です。情報が後から訂正された場合は、当初の表示と訂正後の表示を区別し、当初から最終値が分かっていたように説明しないことが重要です。

今回の週の時系列から得られるのは、どの材料がいつ利用可能になり、何を測っていたかという地図です。その地図があれば、日本の株価、中国の生産、日本の物価を、同時に起きた一つの現象へ押し込まずに整理できます。価格と統計が違う方向を示すときも、対象期間や対象範囲の差を先に確認すれば、直ちに矛盾と決めつける必要はありません。

こうした時間の整理は、予測を避けるためではなく、予測と事実の境界を明確にするためのものです。すでに起きた取引、すでに公表された統計、これから分かる活動を分けることで、何を確認済みと呼べるかが定まります。今週の振り返りは、後から分かった情報で過去を塗り替えるのではなく、その週に明らかになった材料と未解決の問いを残す作業になります。

5.同じ価格変化でも、需要と費用では意味が違う

今週確認した日本の物価、中国の生産、日本株の値動きは、価格と活動が同じ方向に動くとは限らないことを考える材料になります。消費者が払う価格が上がったとき、その背景が需要の増加なのか、供給費用の上昇なのかによって、企業や家計に伝わる意味は違います。無料部分の最後では、この区別を理解するために、三つの基本的な組合せを整理します。現在の経済をどれか一つに断定するものではありません。

第一は、需要の増加に伴って価格と販売数量がともに増える組合せです。顧客の注文が増え、企業が生産やサービスの供給を増やす場合、売上高の増加には数量の増加が含まれます。ただし、同時に人手や設備の制約が強まれば、投入費用も上昇する可能性があります。需要が強ければすべての企業の採算が改善するとは限らず、供給を増やすために何が必要かまで見ることが大切です。

第二は、費用が上がり、価格は上昇する一方で数量が増えない組合せです。輸送や材料などの負担が増えた場合、企業が販売価格へ転嫁しても、家計や取引先が購入量を減らせば、売上高の増加が活動の拡大を意味しないことがあります。価格が上がったという共通の結果だけを見て、第一の組合せと同じ需要の強さだと判断すると、供給側の圧力を見落とします。

第三は、供給条件が改善して価格圧力が弱まり、数量は維持または増加する組合せです。必要な材料が入手しやすくなり、輸送の遅れが短くなれば、同じ需要に対してより安定した供給が可能になります。この場合、価格の伸びが鈍っても、必ずしも需要が悪化したとは限りません。物価の減速をすべて景気悪化と読むのも、価格上昇をすべて活況と読むのと同じく、一つの指標に意味を持たせすぎています。

これらを区別する際、名目売上高だけでは足りません。販売数量、価格、商品の構成が売上高に関わります。高価格帯の製品への構成変化によって平均単価が上がる場合、同じ製品を値上げした場合とは意味が異なります。取引量が変わらなくても単価が変われば金額は動き、数量が増えても単価が下がれば金額の伸びは小さくなります。金額の統計を使うときは、その内訳を別の資料で確かめる必要があります。

輸入と輸出でも同様です。資源の国際価格が上昇すると、輸入数量が同じでも輸入金額が増えることがあります。輸入金額の増加だけを根拠に国内需要が強くなったと判断すると、費用の上昇を活動の増加と取り違えます。輸出側では、価格上昇によって受取額が増えても、輸出数量や国内で生み出す付加価値の増え方は違うかもしれません。貿易の金額、数量、価格は、それぞれ別の観察が必要です。

為替の変化は、この関係をさらに複雑にします。外国通貨で同じ価格の材料でも、自国通貨へ換算した費用は為替によって変わります。ただし、為替が動いた瞬間にすべての仕入れ価格や店頭価格が同じ割合で変わるとは限りません。契約通貨、契約期間、在庫、価格改定の頻度が影響します。為替変動と消費者物価の間には、取引の仕組みと時間差が存在します。

家計の消費に伝わるまでには、企業が費用を吸収するか、販売価格を変えるか、商品やサービスの内容を変えるかという判断もあります。見かけの価格が同じでも、容量や品質が変わる場合には、実質的な負担の読み方が変わります。他方、価格だけが上がっても所得が増えれば、購入量への影響は違うことがあります。価格と数量を分けることは、数字の細分化ではなく、誰がどの負担を受けるかを理解するための準備です。

今週の日本の9月物価と中国の7〜9月期生産を、この三つの組合せへ機械的に当てはめることはできません。国も対象期間も測定対象も違うからです。日本の消費者価格の上昇率を中国の生産量の変化と直接足し引きして、アジア全体の需要圧力を作ることはしません。それぞれの地域の資料を、その定義のまま使い、国境を越える取引の情報を加えて初めて経路を考えます。

金融市場の価格も、これらの組合せを完全に識別する装置ではありません。同じ金利低下でも、物価圧力の緩和を受けたものか、成長への懸念を受けたものかで解釈は違います。株価の下落も、収益の見通し、割引率、不確実性への評価など複数の経路を持ちます。資産価格の方向から実体経済の原因を一つに決めるのではなく、統計と市場の両方を使って確認する必要があります。

この週末に残すべき問いは、「価格が上がったか下がったか」だけではありません。「同じ期間の数量はどうだったか」「費用はどこで増えたか」「所得や採算へどのように届くか」という問いを加えます。確認できていない部分は、既知の事実をつなぐために想像で埋めず、未確認のまま区別します。それにより、一つの発表に過剰な説明を求めずに済みます。

無料部分の要点は、週の株価、月の物価、四半期の生産をそれぞれ正しい時間と範囲で読むことです。日本株の週末までの下落は確認できますが、それだけでアジア全体の需要が縮小したとは言えません。物価の上昇も、生産の増加も、他の指標を不要にする答えではありません。価格、数量、所得、費用の関係を順序立てて理解することが、今週の材料から金融の仕組みを学ぶための基礎になります。

本日の市場の要点

日本株の週間下落、日本の9月物価、中国の7〜9月期生産は、異なる時間と範囲の情報です。価格と数量、対象期間と公表日を分けることで、活動と評価を混同せずに今週を理解できます。

無料部分の参考資料

  1. 日本取引所グループ:営業時間・休業日
  2. 日本経済新聞社:日経平均ヒストリカルデータ、10月23日更新
  3. 読売新聞:10月23日の東京市場終値、15時57分
  4. DZH:10月23日の東京市場終値
  5. 総務省統計局:2026年9月全国消費者物価、10月23日公表
  6. 中国国家統計局:2026年1〜9月経済概況、10月19日公表
  7. 上海証券取引所:2026年取引規則、第2.4.1項
  8. 香港取引所:証券市場の取引時間
  9. 台湾証券取引所:10月5日公告1150205920、10月24〜26日休場

本記事はSG Groupによる一般情報・教育目的の解説と条件付き分析であり、個別の投資助言、勧誘、売買推奨ではありません。統計は改定される場合があり、将来の結果は保証されません。

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