Macro Research Workbench

マクロシナリオ分析の作り方|成長・インフレ・金利・流動性をレポート化

マクロシナリオ分析の作り方|成長・インフレ・金利・流動性をレポート化 | SG Group

Macro Research Workbench — シリーズ 10

マクロシナリオ分析の作り方|成長・インフレ・金利・流動性をレポート化

マクロ シナリオ 分析は、一つの未来を当てにいく予測ではありません。成長・インフレ・政策金利方向・流動性という前提を複数の条件付き経路に分け、それぞれに観測指標・トリガー・反証条件・伝播経路・更新手順を紐づけて、更新可能なレポートへまとめる作業です。本記事は、架空の教育用データを使って、シナリオカードの作り方とレポート化の手順を最初から最後まで一続きで解説します。

  • シナリオと予測の違いを言葉にできる
  • 成長×インフレ4象限に政策・流動性を重ねる
  • 前提・観測・トリガー・反証・更新を1枚のカードにする
  • クロスアセット伝播を「仮説」として扱う
読了目安約13分
更新日2026年7月14日
対象マクロを条件分岐へ整理したい個人投資家・小規模運用者
種別教育・記述的な解説

この記事の要点

  • シナリオ分析は「予測」ではなく、条件付き経路・観測指標・トリガー・反証条件・更新手順の設計。
  • 基本の4軸は成長・インフレ・政策金利方向・流動性。成長×インフレ4象限に政策と流動性を重ねる。
  • base/upside/downsideは価値判断ではなく前提の違い。確率を根拠なく自動付与しない。
  • クロスアセット伝播は「検証すべき仮説」であって売買方向・価格目標ではない。
  • 数値はすべて架空の教育用データ。実データの確認は無料のワークベンチで行える。
目次を開く
  1. シナリオ分析とは(結論から)
  2. シナリオと予測の違い
  3. 4つの基本軸
  4. 成長×インフレ4象限マップ
  5. 架空データセットと時点・単位
  6. シナリオカードの作り方
  7. クロスアセット伝播(仮説)
  8. 国別マクロカード比較
  9. 一貫した架空3シナリオ例
  10. シナリオ・マトリクス作成器
  11. 解釈の限界
  12. 実務チェックリスト
  13. ワークベンチでの確認手順
  14. よくある質問
  15. まとめと次の一歩
  16. あわせて読みたい
  17. 参考資料

結論

マクロシナリオ分析とは何か(結論から)

マクロ シナリオ 分析とは、成長・インフレ・政策金利方向・流動性という前提を、複数の条件付き経路(シナリオ)に分けて記述し、それぞれに観測指標・トリガー・反証条件・伝播経路・更新手順を紐づける作業です。目的は一つの未来を予言することではなく、「どの条件が満たされたら、どのシナリオが確からしくなるか」を、あらかじめ観測可能な形へ落とし込んでおくことにあります。

この整理をしておくと、新しいデータが公表されるたびに、それがどのシナリオのトリガーを発火させ、どのシナリオの反証条件に触れたのかを機械的に確認できます。結果として、レポートは「当たった/外れた」で捨てるものではなく、前提が変わった箇所だけを改訂して育てていく、更新可能な文書になります。マクロ情報を集めるだけで終わらせず、条件分岐・監視項目・更新頻度の形へまとめたい人に向けた作業です。

本記事はMacro Research Workbenchクラスターの最終記事です。個々のデータの読み方はクラスター各記事に譲り、ここではそれらを一枚のシナリオへ束ねる工程に集中します。全体像を先に押さえたい場合は、マクロ分析完全ガイド(COT・金利・実質金利・EIAをつなぐリサーチ手順)から読み始めると、本記事の位置づけが分かりやすくなります。掲載する数値・図表はすべて架空の教育用データで、実際の市場値・予測・売買推奨ではありません。

用語整理

シナリオと予測は何が違うのか

両者を混同すると、シナリオ分析はただの「複数の当てもの」になってしまいます。違いは、断定するか、条件で記述するかです。

  • 予測:「これが起きる」と一つの未来を断定する。評価軸は的中率で、外れれば価値を失います。
  • シナリオ:「この条件が満たされれば、この経路が確からしくなる」という条件付きの記述。前提・確認指標・反証条件をセットにし、当たり外れではなく「前提が崩れたときに早く気づけるか」で評価します。

base(基本)・upside(上振れ)・downside(下振れ)という名称もよく使いますが、これは価値判断(良い/悪い)ではなく、前提の置き方の違いにすぎません。景気が強い経路が「良い」わけでも、弱い経路が「悪い」わけでもなく、どの前提が満たされたかを区別するラベルです。また、各シナリオに確率を数値で自動付与することは避けます。確率を付けるなら、その出所(市場が織り込む価格、調査、明示した主観)と更新方法を併記できる場合に限ります。過去局面との比較に踏み込みたい場合は、因果検証を扱うマクロレジーム分析のやり方(過去局面比較・データ改定・先読みバイアス)へ切り分けます。シナリオは将来の条件分岐、レジームは過去局面の検証と、役割を分けるのが要点です。

基本設計

4つの基本軸:成長・インフレ・政策金利・流動性

シナリオを無数に作ると管理できなくなります。まずは4つの軸に絞り、各軸を数段階で分類するところから始めます。

  • 成長:改善/横ばい/悪化。近似指標の例は製造業PMI(50を拡大・縮小の境目とする指数)や実質GDP成長率の前年同月比。
  • インフレ:上昇/横ばい/低下。近似指標の例はコアCPIの前年同月比(季節調整済)。
  • 政策金利方向:引き上げ/据え置き/引き下げ。中央銀行の会合ごとの方向で分類します。
  • 流動性:拡大/中立/縮小。中央銀行のバランスシート前年比や準備預金の増減で近似します。定義は市場ごとに異なるため、どの系列で近似しているかを必ず明示します。

成長とインフレを縦横にとると4象限ができ、そこへ政策金利方向と流動性を重ねます。金利差と為替の関係を軸に加えたい場合は金利差と為替の関係(名目・実質・期待で比較する方法)を、金利そのものの水準やカーブ形状を確認したい場合は米国債利回りとイールドカーブの見方(2年・10年・実質金利)を参照してください。

可視化 1

成長×インフレ4象限シナリオマップ

次の図は、横軸にインフレ(左=低下/右=上昇)、縦軸に成長(上=改善/下=悪化)をとり、4象限に典型的な状況名を置いたものです。そこへ本記事で一貫して使う架空の3シナリオ(Base/Upside/Downside)を点で配置しています(すべて架空の教育用データ)。

成長×インフレ4象限シナリオマップ(架空の教育用データ) 横軸はインフレで左が低下・右が上昇、縦軸は成長で上が改善・下が悪化。左上はディスインフレ的成長、右上はリフレ・再加速、左下は景気減速・ディスインフレ、右下はスタグフレーション的。Upsideシナリオは右上、Baseシナリオは中央やや左下、Downsideシナリオは左下に配置。政策金利と流動性の方向を各象限に注記。すべて架空の値です。 ディスインフレ的成長 リフレ/再加速 景気減速・ディスインフレ スタグフレーション的 政策:据置〜引下げ/流動性:中立 政策:引上げ/流動性:やや縮小 政策:引下げ/流動性:拡大 政策:据置/流動性:まちまち U Upside B Base D Downside インフレ →(左:低下/右:上昇) 成長 →(下:悪化/上:改善) 記号:U=Upside, B=Base, D=Downside(色に加えラベルで区別)。象限名・配置は架空の例示。
架空の教育用データ4象限マップ。象限名と3シナリオの配置は例示であり、実際の市場データ・予測・売買推奨ではありません。政策・流動性の注記は各象限で一般に議論される方向の一例です。

重要なのは、象限を「良い/悪い」で色分けしないことです。上の図では色に加えてラベル(U/B/D)と象限名を併記し、色だけで意味が伝わらないようにしています。どの象限に落ちるかは前提の置き方の違いであって、そのまま売買方向にはなりません。

データ辞書

架空データセットと時点・単位・変換

シナリオ分析では、各シナリオが同じ指標定義・頻度・単位・変換を共有していることが前提です。ここで本記事全体を通じて使う架空データセットを一度だけ定義し、以降の本文・図・表・ミニツールで値を変えません。すべて教育用の架空データで、実際の公表値ではありません。

表1:本記事で一貫して使う架空の観測指標セット(3シナリオ・実際の市場値ではありません)
指標 単位/変換 頻度 Base Upside Downside 出典(例示)
製造業PMI指数(50=拡縮境界)月次50.253.547.0民間調査
実質GDP成長率YoY %(SA)四半期+1.2+2.4−0.3統計機関
コアCPIYoY %(SA)月次3.13.82.4統計機関
政策金利%(会合ごと)会合4.504.753.75中央銀行
10年国債利回り%(level)日次4.204.603.60FRED
2年国債利回り%(level)日次4.354.753.50FRED
2s10sスプレッドbp(10年−2年)日次−15−15+10計算
10年実質金利%(TIPS level)日次1.902.201.30FRED
10年ブレークイーブン%(BEI)日次2.302.402.30計算
中央銀行BS前年比%(YoY)週次0−5+8中央銀行
EIA原油在庫 週次変化百万バレル週次+2.1−1.5+4.0EIA

あわせて、伝播の議論で使う補助的な架空の統計値を2つ固定します。金価格と10年実質金利の52週ローリング相関は −0.62(観測数 n=52週、無次元)コアCPIサプライズのzスコアは +1.4(サンプル定義:過去24か月、平均・標準偏差で標準化)とします。ローリング相関では窓幅・最小観測数・端点・欠損処理を、zスコアではサンプル数と分母定義を明示するのが原則です。COTのポジション建玉をシナリオの確認指標に加える場合は、パーセンタイルとzスコアの読み方をまとめたCOTパーセンタイル・Zスコアの見方(極端値と建玉変化を比較する)を、金と実質金利の関係は金価格と実質金利の関係(逆相関を局面別・ローリング相関で検証)を参照してください。

日付フィールドは分けて管理します。観測日・対象期間末・発表日・取得日・改定日・ヴィンテージ日を別々に記録し、分析日時より後に公表された値を過去の分析へ使いません。level・difference・percent change・YoY・percentile・zスコア・相関・bpは混同せず区別します。前方補完は「当時知り得た」ことを意味しない点にも注意します。

可視化 2

シナリオカードの作り方(前提→観測→トリガー→伝播→反証→更新)

シナリオは1枚のカードに落とすと運用しやすくなります。カードには6つの欄を用意します。前提、観測可能な確認指標、トリガー、伝播経路、反証条件、次回更新日とデータ出典です。次の図はこの流れを左から右へ示したものです。

シナリオカードの6段階フロー 前提、観測指標、トリガー、伝播経路、反証条件、更新の6段階を左から右へ矢印でつないだ概念図。トリガーと反証条件は対になり、更新から観測へ戻る循環を破線で示す。数値は含みません。 STEP 1 前提 成長・物価・政策・流動性 STEP 2 観測指標 PMI・CPI・金利 STEP 3 トリガー 確からしくなる条件 STEP 4 伝播経路 要検証の仮説 STEP 5 反証条件 維持できない線引き STEP 6 更新 次回更新日・出典 更新のたびに観測へ戻り、トリガー発火・反証を再確認 トリガー(Step3)と反証条件(Step5)は必ず対で設計する
概念図シナリオカードの6段階。トリガーと反証条件を対で設計し、更新のたびに観測へ戻る循環にするのが要点です。数値は含みません。

トリガー(そのシナリオが確からしくなる条件)と反証条件(そのシナリオが維持できなくなる条件)を必ず対で設計するのがコツです。反証条件を先に決めておくと、出た数字に後付けで理由をつける確証バイアスを避けられます。伝播経路の欄は、あくまで「検証すべき仮説」を書く場所であり、売買方向や価格目標を書く欄ではありません。

伝播経路

クロスアセット伝播は「仮説」として扱う

各シナリオが金利・通貨・株・金・原油へどう波及しうるかは、シナリオ分析の見どころです。ただしここは最も誤読が起きやすい部分でもあります。伝播経路は「この前提なら、この経路を確認しに行く」という監視の道しるべであって、「だから買い/売り」という結論ではありません。以下の対応は、一般に議論される経路の一例で、架空の教育用データに基づく整理です。

表2:シナリオ別の伝播経路(要検証の仮説・売買方向や価格目標ではありません)
資産クラス確認しに行く経路(仮説)主に見る指標参照記事
名目金利成長・物価の強弱が金利の水準とカーブ形状に及ぶ経路10年・2年利回り、2s10s(Baseは−15bp)MR04
為替名目・実質の金利差と期待が通貨に及ぶ経路実質金利差、政策方向MR05
実質金利と流動性が金に及ぶ経路(52週相関 −0.62)10年実質金利、中央銀行BSMR06
原油成長期待と需給が在庫・価格に及ぶ経路EIA在庫(Base +2.1百万バレル)MR07
株(広義)成長・金利・流動性が評価とリスク選好に及ぶ経路実質金利、流動性、成長指標MR01

相関は因果を証明しません。金と実質金利の52週相関が −0.62 であっても、それは同じ期間に一緒に動いた度合いを表すだけで、どちらかが原因だと確定するものではなく、期間を変えれば符号や強さは変わり得ます。先行・遅行の関係を確かめたい場合は、時差相関の設計を扱うリード・ラグ分析とは(時差相関で先行・遅行関係を検証する方法)を参照し、原油の需給側はEIA原油在庫の見方(在庫・生産・輸入・製油所稼働率を整理)で確認してください。伝播経路は「先行指標だから予測できる」という断定に変えず、確認すべき次のデータを指し示す道具として使います。

可視化 3

国別マクロカードで横断比較する

シナリオを複数国へ広げるときは、指標定義・頻度・季節調整・通貨単位をそろえることが欠かせません。定義がずれた国同士を並べても比較になりません。次のダッシュボード風の図は、架空の3か国(国A・国B・国C)を同じ指標定義で並べたものです(すべて架空の教育用データ)。

国別マクロカード比較(架空の教育用データ) 架空の3か国を同じ指標定義で比較。国AはPMI50.2・コアCPI3.1パーセント・政策金利4.50パーセント・10年実質金利1.9パーセント。国BはPMI48.5・コアCPI2.6パーセント・政策金利3.75パーセント・実質金利1.1パーセント。国CはPMI52.0・コアCPI4.2パーセント・政策金利5.25パーセント・実質金利2.0パーセント。すべて架空の値です。 国A(横ばい局面) 製造業PMI50.2 コアCPI YoY3.1% 政策金利4.50% 10年実質金利1.9% 政策方向据置 成長=横ばい/物価=低下 国B(減速局面) 製造業PMI48.5 コアCPI YoY2.6% 政策金利3.75% 10年実質金利1.1% 政策方向引下げ 成長=悪化/物価=低下 国C(再加速局面) 製造業PMI52.0 コアCPI YoY4.2% 政策金利5.25% 10年実質金利2.0% 政策方向引上げ 成長=改善/物価=上昇 同じ指標定義・頻度・季節調整・単位でそろえた架空の国別カード。国名・数値は例示です。
架空の教育用データ国別マクロカードの横断比較。3か国はいずれも架空で、実在国・実際の統計値ではありません。定義をそろえて初めて比較になる点を示す例示です。

国別に見ると、同じ「減速」でも政策金利の水準や実質金利が異なり、シナリオの前提も国ごとに変わることが分かります。購買力平価や通貨単位の扱いをそろえないと、水準比較が誤解を生む点にも注意します。

一貫した例

架空の3シナリオ例:更新でトリガーが発火し、反証される流れ

ここまで定義した架空データセット(表1)を使って、3枚のシナリオカードを実際に書いてみます。各カードは前提・観測指標・トリガー・反証条件・次回更新日・伝播経路(仮説)を持ちます。値は表1と一致させています。

表3:架空の3シナリオカード(値は表1と一致・実際の市場値や推奨ではありません)
Base:緩やかな減速とインフレ鈍化Upside:再加速Downside:景気減速
前提(成長/物価/政策/流動性)横ばい/低下/据置〜引下げ/中立改善/上昇/引上げ/やや縮小悪化/低下/引下げ/拡大
観測指標(PMI/コアCPI)50.2 / 3.1%53.5 / 3.8%47.0 / 2.4%
トリガーコアCPIが3%台前半で低下継続、PMIが50前後で推移PMIが53超で2か月連続、コアCPIが再加速PMIが48を下回り雇用も弱含み
反証条件PMIが53超を2か月連続、またはコアCPIが3.5%超へ再上昇PMIが50割れ、または政策が据置転換PMIが50超回復、コアCPIが下げ止まり
次回更新日2026-08-142026-08-142026-08-14
伝播経路(仮説・要検証)金利は横ばい圏を確認、金は実質金利1.90%を注視金利上昇圧力とドル底堅さを確認しに行く金利低下圧力と在庫積み上がり(+4.0百万バレル)を確認

ここで、更新日に新しい観測が入ったとします。たとえば製造業PMIが 50.2 から 53.5 へ改善し、2か月連続で53を上回ったとします。この観測は、Baseの反証条件(PMIが53超を2か月連続)に触れ、同時にUpsideのトリガー(PMIが53超で2か月連続)を発火させます。つまり、同じ1つのデータ更新が、あるシナリオを反証し、別のシナリオを確からしくするという形で機能します。

大切なのは、この時点でやることは「レポートの改訂」であって「売買判断」ではない点です。Baseの前提が崩れたので、確認しに行く伝播経路をUpside側(金利上昇圧力やドルの底堅さ)へ切り替え、次に見るべき指標を更新します。過去に似た局面があったとしても、条件の一部が似ているだけで同じ結果を保証しません。過去局面の扱いはマクロレジーム分析の記事に切り分けます。

教育用ミニツール

シナリオ・マトリクス作成器

下のミニツールは、シナリオカードの骨組みを組み立てる練習用です。成長・インフレ・政策方向・流動性・証拠品質を選び、監視指標・トリガー・反証条件・次回更新日を入力すると、最大3シナリオぶんのカード要素を整理して表示します。確率・価格目標・売買方向は自動生成しません。伝播経路は「確認しに行く経路(仮説)」として、見るべきデータ系列を示すだけです。入力はブラウザ内で完結し、保存・送信は行いません。

まず、JavaScriptが無効でも読めるよう、既定入力に対する静的な出力例を示します。この静的例は下のツールの初期状態と一致します。

表4:既定入力に対する静的な出力例(ミニツール初期状態と一致・架空の教育用データ)
内容
前提成長=横ばい/インフレ=低下/政策=据置/流動性=中立(=Base象限)
証拠品質中(確率は数値化せず、証拠品質で記録)
監視指標コアCPI YoY, 製造業PMI
トリガーコアCPI YoY > 3.5% または PMI < 48
反証条件PMI > 53 が2か月連続
次回更新日2026-08-14
確認しに行く経路(仮説)名目金利(MR04)・実質金利と金(MR06)・金利差と為替(MR05)・原油在庫(MR07)

前提と監視項目を入力(送信・保存はしません)

シナリオカード(既定入力)

前提
成長=横ばい/インフレ=低下/政策=据置/流動性=中立(Base象限)
証拠品質
中(確率は数値化しません)
監視指標
コアCPI YoY, 製造業PMI
トリガー
コアCPI YoY > 3.5% または PMI < 48
反証条件
PMI > 53 が2か月連続
次回更新日
2026-08-14
確認する経路
名目金利(MR04)・実質金利と金(MR06)・金利差と為替(MR05)・原油在庫(MR07)

このミニツールは学習用に単純化しています。実務では、系列ごとの観測日・発表日・改定日を分けて管理し、正式な確認はワークベンチでデータ・期間・仕様を突き合わせてください。確率・価格目標・売買方向は出力しません。

解釈の限界

読み間違えやすい5つの限界

シナリオ分析は便利ですが、次の限界を忘れると「予測」に逆戻りします。

  • 相関は因果を証明しない:52週相関 −0.62 は同時期の連動度で、原因を確定しません。期間を変えれば符号も変わり得ます。
  • 極端値は反転を保証しない:zスコア +1.4 のような極端な観測が、必ず平均へ戻るわけではありません。
  • イールドカーブは時期を確定しない:2s10sが −15bp のような逆転でも、景気後退の有無や時期を断定できません。
  • 在庫は価格方向を決めない:EIA在庫が +4.0百万バレル積み上がっても、それだけで原油価格の向きは決まりません。
  • シナリオは予測ではない:base/upside/downsideは前提の違いであり、どれかが「起きる」と約束するものではありません。

これらはすべて、「1つの統計値から価格方向へ飛躍しない」という同じ原則の言い換えです。飛躍しそうになったら、反証条件と、次に確認すべき追加データへ戻ります。

実務チェック

レポート化のための実務チェックリスト

シナリオを更新可能なレポートへ落とすとき、最低限そろえておきたい項目です。

  1. 4軸(成長・インフレ・政策金利方向・流動性)を段階で分類し、根拠指標を1つ以上明記したか。
  2. 各シナリオにトリガーと反証条件を「対」で書いたか。反証条件を先に決めたか。
  3. 観測指標の頻度・単位・季節調整・参照期間・出典をそろえたか。
  4. 観測日・発表日・取得日・改定日を分け、分析日より後の値を過去へ使っていないか。
  5. 伝播経路を「確認する経路(仮説)」として書き、売買方向・価格目標へ変えていないか。
  6. 次回更新日を系列の公表頻度に合わせて記入したか。
  7. 確率を数値化する場合、その出所と更新方法を併記したか(できないなら証拠品質で記録)。
  8. 国別比較では、指標定義・通貨単位・購買力の扱いをそろえたか。

サービス活用

ワークベンチでの確認手順(Free→Pro→Premium)

ここまでの作業は、Macro Research Workbenchを使うと段階的に効率化できます。まず無料で公開マクロを確認し、監視・保存・出力が必要になったらPro、データ統合・シナリオ・レポート化まで進むならPremium、という成熟度の流れです。次の図はその成熟度ロードマップを示します。機能名・保存方式・対応範囲は変更され得るため、最新はプランページと実装でご確認ください。

Free→Pro→Premiumの成熟度ロードマップ 左から右へFree・確認、Pro・監視保存出力、Premium・研究シナリオレポートの3段階を矢印でつないだ概念図。各段階に代表的な作業を記載。数値は含みません。 FREE 確認する 公開マクロ、COT、利回り・ 実質金利、基本テンプレート PRO / CORE 監視・保存・出力 全履歴、パーセンタイル、Z、 ウォッチリスト、PDF/CSV出力 PREMIUM / GLOBAL 研究・シナリオ・レポート シナリオビルダー、国別カード、 Point-in-Time、Report Studio 確認 → 監視・保存・出力 → データ統合・シナリオ・レポート化 段階名・作業は現行プランページを唯一の正とし、価格は本文に固定しません。概念図です。
概念図成熟度ロードマップ。作業工程で3段階を比較する例示で、機能の網羅一覧ではありません。最新の対応範囲はプランページでご確認ください。
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  1. 主要通貨・金属・エネルギー・株価指数・米債のCOT、ネット・パーセンタイルを見る
  2. 米国債利回り・実質金利、基本の金利差テンプレートを確認
  3. Gold×Real Yield、Oil×EIA Inventoryの公開ビューを読む
Pro / Core

監視・保存・出力

  1. COT全履歴、5年・10年・全期間パーセンタイル、Zスコアで極端値を監視
  2. ローカルウォッチリストとレイアウト・注釈を保存
  3. PDF/CSV/JSON/PNG/SVGでシナリオカードを出力
Premium / Global

研究・シナリオ・レポート

  1. Scenario Builder、Country Macro Cards、Global Rates Matrixで構造化
  2. Point-in-Time、Data Bank連携、ブラウザ内CSV結合で当時値を保つ
  3. Notebook、Report Studio、Batch Reportsで更新可能なレポートへ

本ツールは、公開マクロデータと端末内で読み込んだデータを機械的に整理・可視化するものです。ロット、証拠金、取引コスト、スプレッド、スワップ、損益、売買シグナル、個別投資助言は提供しません。ロットや取引コストの計算が必要な場合は、FX・CFDロット計算完全ガイド取引コスト計算完全ガイド、戦略の検証にはTradingViewバックテスト完全ガイドを、それぞれ用途に応じて併用してください。日本語の学習記事は記事一覧から辿れます。

FAQ

よくある質問

マクロシナリオ分析とは何ですか?
マクロシナリオ分析とは、成長・インフレ・政策金利方向・流動性といった前提を複数の条件付き経路に分け、それぞれに観測指標・トリガー・反証条件・伝播経路・更新手順を紐づけて、更新可能なレポートへまとめる作業です。単一の未来を予言するのではなく、どの条件が満たされたらどのシナリオが確からしくなるかを、あらかじめ観測可能な形に落とし込みます。データが更新されるたびにトリガーの発火や反証を確認し、レポートを改訂していきます。
シナリオと予測は何が違いますか?
予測は「これが起きる」と一つの未来を断定し、当たり外れで評価されます。シナリオは「この条件が満たされれば、この経路が確からしくなる」という条件付きの記述で、前提・確認指標・反証条件をセットにします。シナリオの価値は的中率ではなく、前提が崩れたときに早く気づき、レポートを更新できる点にあります。本記事は予測を提供せず、条件分岐と更新手順の作り方だけを扱います。
成長とインフレはどう分類しますか?
成長は改善・横ばい・悪化、インフレは上昇・横ばい・低下といった段階で分類し、成長×インフレの4象限として整理すると見通しが立てやすくなります。分類の根拠には、頻度・単位・季節調整・参照期間をそろえた観測指標(例として製造業PMIやコアCPIの前年同月比)を使います。閾値は固定の正解ではなく、なぜその値を境目にするかを明示し、改定や休日例外の可能性も併記します。
中央銀行と流動性はどう組み込みますか?
政策金利の方向(引き上げ・据え置き・引き下げ)と、中央銀行のバランスシートや準備預金の増減で近似する流動性を、成長×インフレの象限に重ねる第三・第四の軸として扱います。流動性は市場ごとに定義が異なるため、どの系列で近似しているか、前年比なのか水準なのかを明示します。政策と流動性は伝播経路の起点になりますが、価格の方向や到達点を確定するものではありません。
シナリオに確率を付けるべきですか?
根拠なく数値の確率を自動付与することは避けます。確率を付けるなら、その出所(市場が織り込む価格、調査、明示した主観)と、どのデータでどう更新するかを併記できる場合に限ります。多くの実務では、確率を数字で固定するより、証拠品質を高・中・低で記録し、トリガーと反証条件を明確にする方が更新しやすく、後から検証もできます。確率は判断の代替ではなく、あくまで補助情報として扱います。
反証条件はどう決めますか?
反証条件は「この観測が出たらこのシナリオは維持できない」という、事前に決めた明確な線引きです。トリガー(シナリオが確からしくなる条件)と対になる形で、観測可能な指標・閾値・期間で定義します。例として、減速シナリオに対して『製造業PMIが53を2か月連続で上回る』を反証条件に置く、といった具合です。反証条件を先に決めておくと、出た数字に後付けで理由をつける確証バイアスを避けられます。
レポートはどの頻度で更新しますか?
更新頻度は使う指標の公表頻度に合わせます。月次のPMIやCPIが中心なら月次、週次の在庫や中央銀行データを監視するなら週次、政策会合の前後には臨時更新、というように、系列ごとに次回更新日をカードへ明記します。更新時には、新しい観測でトリガーが発火したか、反証条件に触れたかを確認し、前提が変わった箇所だけを改訂します。すべてを毎回書き直す必要はありません。
Premiumのシナリオビルダーとレポート機能で何ができますか?
現行のPremium/Global階層では、シナリオビルダーで前提・観測指標・トリガー・反証条件を構造化し、国別マクロカードやGlobal Rates Matrix、中央銀行・流動性のボードと組み合わせて比較できます。Report StudioやNotebook、Batch Reportsで更新可能なレポート形式に出力し、Point-in-TimeやData Bank連携で当時知り得た値に基づく整理を保てます。機能名・対応範囲・保存方式は変更され得るため、最新はプランページと実装でご確認ください。リアルタイム有料市場データや投資助言、売買シグナルは全プラン共通で提供範囲外です。

まとめ

まとめ:主質問への回答と次の一歩

マクロ シナリオ 分析の作り方は、一つの未来を当てにいくことではありません。成長・インフレ・政策金利方向・流動性という4軸で前提を分け、各シナリオに観測指標・トリガー・反証条件・伝播経路・次回更新日を紐づけ、データ更新のたびに発火と反証を確認してレポートを改訂する——この循環を回すことが本質です。トリガーと反証を対で設計し、伝播経路を「売買方向」ではなく「確認する経路(仮説)」として扱えば、シナリオは予測へ逆戻りしません。

実務では、(1)4軸を根拠指標付きで分類する、(2)トリガーと反証条件を対で書く、(3)観測日・発表日・改定日を分けて時点整合を守る、(4)伝播経路を仮説として書く、(5)次回更新日を公表頻度に合わせる——この5点を押さえれば、更新可能なマクロレポートの骨格ができます。全体像を確認したいときは、クラスターの親記事へ戻って各データの読み方を復習するのが近道です。

次に読む

MR01:マクロ分析完全ガイド|COT・金利・実質金利・EIAをつなぐリサーチ手順 — 各データの読み方を一望し、シナリオの土台を固めましょう。

参考資料

参考資料(一次情報)

本記事で触れた指標定義・データ辞書・時点整合の考え方は、次の一次情報の一般的な説明に基づきます。系列名・単位・改定方針・利用条件は各機関の最新の公式ページでご確認ください。

  1. Federal Reserve Bank of St. Louis — FRED(利回り・実質金利・BEI等):https://fred.stlouisfed.org/
  2. World Bank — Indicators API Documentation:datahelpdesk.worldbank.org
  3. International Monetary Fund — Data:https://www.imf.org/en/Data
  4. OECD — Data Explorer:https://data-explorer.oecd.org/
  5. Bank for International Settlements — BIS Data Portal:https://data.bis.org/