Learn — ロット計算シリーズ 07
XAUUSD(金)の損益は、一般に「USD/ozの価格差 × 1lotあたりのオンス数 × lot」で計算します。ここで重要なのは、FXの100,000通貨や「1pip=一定額」という感覚をそのまま金に当てはめないことです。1lotが何オンスを表すか、pipとpointの呼称はどうかは、すべて業者の契約仕様が最終基準になります。本記事は、損失予算からXAUUSDのlotを求める式を単位付きで示し、円口座の架空例・損益ヒートマップ・必要証拠金との違いを、無料ロット計算機での確認手順とともに整理します。
この記事の要点
結論
XAUUSD(金)の損益は、一般にUSD価格差(USD/oz)×1lotあたりのオンス数(oz/lot)×lotで求めます。円口座であれば、これにUSD→JPYの換算レートを掛けて円建てに直します。そして数量を決めるときは、この関係を逆算してlot=損失予算÷(USD価格差×oz/lot×USD→口座通貨換算)とします。
ここで最初に切り分けたいのは、金の「1lot」はFXの1standard lot=100,000通貨とは別物で、1lotが何オンスを表すか(contract size)は業者仕様が最終基準だという点です。よく見かける100oz/lotはあくまで一例で、口座区分や現物CFDの別によって異なることがあります。FXの「1pip=一定額」という感覚をそのまま金へ持ち込むと、桁を取り違えます。取引量を決める全体像はFX・CFDロット計算の完全ガイドにまとめており、本記事はそのうち金(XAUUSD)に固有の契約サイズと円換算を深掘りします。
以下の数値・図表はすべて架空の教育用データで、実在する価格・契約仕様・成績ではありません。金額の大小そのものに意味はなく、式と単位の読み方を示すためのものです。
用語と前提
式に入る前に、金の損益計算に登場する言葉を単位付きで整理します。定義は業者や商品で変わり得るため、ここでは一般化した教育用の定義として扱います。
lot・契約サイズ・pipsといった単位の関係そのものに不安があれば、先にロット・通貨単位・pipの違いを確認しておくと、金の計算が読みやすくなります。金は「通貨の枚数」ではなく「オンスの数量」で数える点が、FXと最初に異なるところです。
混同しやすい
金でつまずきやすいのが、pipとpointの扱いです。FXでは「1pip」がある程度共通の感覚で使えますが、金のpip/pointは業者ごとに定義が違います。1pipを$0.10の値動き、1pointを$0.01の値動きとする例が多い一方、業者によっては1pip=$1として扱うこともあります。
この呼称の違いをそのまま損益に持ち込むと、同じ「10pips動いた」でも金額が一桁ずれます。混乱を避けるには、金では「何ドル動いたか(USD/oz)」を基準に計算するのが安全です。$1動いた、$5動いた、という値幅で考えれば、pip/pointの定義に依存せずに損益を追えます。そのうえで、自分の業者がpip/pointをどう定義しているかを契約仕様で確認します。FXのpips基準でロットを決める手順そのものはFXロット計算の公式で扱っており、金ではその「pips」を「USD/ozの価格差」に置き換えて考えます。
計算式
損失予算からlotを求める式は、単位のつながりを追うと理解しやすくなります。まず基本式を単位付きで示します。
この式では、単位が順に打ち消し合って最終的に「lot」だけが残ります。USD/ozにoz/lotを掛けるとUSD/lot、それに円/USDを掛けると円/lot、損失予算(円)を円/lotで割るとlotになります。次の図は、この単位キャンセルの流れを表したものです。
この式で使う「損失予算」は、口座残高に許容リスク率を掛けて決めるのが基本です。1回のトレードで口座の何%をリスクにさらすかという考え方は1トレードあたりのリスク割合の記事で扱っています。損切り幅(USD価格差)をどこに置くかは損切り幅からロットを決める方法が参考になります。
単位付き計算例
ひとつの架空データセットを最後まで使い回します。以下の前提は教育用の架空例で、実在の価格・契約仕様ではありません。
代入する行と答えの行を分けて示します。換算レートは「USD建ての損失を円へ直す向き」で掛けます。
rawなlotは0.1111…ですが、これを業者のlot step(0.01)でリスクを上回らない方向へ切り下げて0.11 lotとします。切り上げると損失予算を超えてしまうため、金額を予算内に収めるには切り下げが基本です。0.11 lotなら推定損失は19,800円で、損失予算20,000円の内側に収まります。もし切り下げ後の数量がminimum lot(この例では0.01)未満になる場合は、その条件では取引量を設定できない可能性があります。ここで前提に置いた100oz/lotは仮定であり、必ず自分の業者仕様で確認してください。契約サイズが違えば、同じ損失予算でも求まるlotは変わります。
感応度
次に、lotと値幅の組み合わせで損益がどう変わるかをヒートマップ表で示します。contract sizeは表頭に固定した100oz/lot(仮定)、円換算はUSD/JPY=150.00です。USD建て損益=値幅×100oz/lot×lot、円建てはそれに150を掛けます。
| 値幅 | 0.01 lot(USD/円) | 0.1 lot(USD/円) | 1 lot(USD/円) |
|---|---|---|---|
| $1/oz | $1 / 150円 | $10 / 1,500円 | $100 / 15,000円 |
| $5/oz | $5 / 750円 | $50 / 7,500円 | $500 / 75,000円 |
| $10/oz | $10 / 1,500円 | $100 / 15,000円 | $1,000 / 150,000円 |
この表から、金は1lotで$10動くと円建てで15万円という、値動き1つあたりの金額が大きい商品だと分かります。FXの感覚で「0.1lotくらいなら小さい」と思っても、金の0.1lotで$10動けば15,000円です。先ほどの計算例(損失予算20,000円・stopまで$12)で0.11 lotに落ち着いたのは、この金額の大きさゆえです。値幅を基準に損益を追う癖をつけると、pip/pointの呼称に惑わされずに済みます。
円換算
XAUUSDの損益はまずUSD建てで出て、円口座では最後にUSD/JPYで換算します。この「向き」を取り違えると、円建て額が実際と大きくずれます。次の図は、USD建て損益から円建て損益への流れを示したものです。
注意したいのは、USD/JPYが動けば、同じUSD建て損益でも円建て額が変わる点です。この例では換算を150.00で固定していますが、実際の円換算レートは刻々と動きます。金価格と為替の両方が損益に効くのが円口座のXAUUSDの特徴で、損益の変動要因が一つ増えると理解しておくと安全です。本記事のミニ計算機は換算レートを入力値として扱い、ライブレートの自動取得はしません。スプレッドや手数料・スワップまで含めた取引コストの確認は取引コスト計算機が役立ちます。
別の計算
金でも、必要証拠金(証拠金制約)と損切り時の想定損失(損切りリスク)は別の計算です。損切りリスクは先の式(損失予算とstop幅)から、必要証拠金は想定元本とレバレッジから、それぞれ独立に求めます。先の0.11 lotの例で、レバレッジを20倍(金CFDの仮定)とした場合を並べます。
この例では、損切りで失う想定額は19,800円なのに対し、建てるのに必要な証拠金は198,000円と、桁が一つ違います。損切りリスクが小さくても、証拠金は別に必要で、金価格が上がれば想定元本が増えて必要証拠金も増えます。レバレッジや証拠金率は業者・商品で異なり、国内個人FXの一般的な上限(おおむね25倍)をそのまま金CFDに当てはめることはできません。必要証拠金・証拠金使用率・実効レバレッジの詳しい分け方は必要証拠金・実効レバレッジの計算方法で扱っています。
前提の限界
ここまでの式は、前提どおりの価格で約定した場合の概算です。実際には、次のような要因で単純式を上回る損失になり得ます。
つまり、ロット計算で求めた「想定損失」は最悪ケースの上限を保証するものではありません。ストップ注文は指定価格での約定を保証しない、という前提を必ず頭に置いてください。だからこそ、損失予算そのものを口座に対して控えめに設定し、余裕をもった数量にしておく意味があります。
確認手順
ここまでの式は、SG Groupの無料ロット計算機にXAUUSDの条件を入力すれば、単一ポジションのlotと想定損失としてそのまま確認できます。まず、下の教育用ミニ計算機で式の動きを体感してください。JavaScriptが無効でも、直後の静的な計算表で同じ入力例・式・答えを確認できます。
| 項目 | 式と代入 | 答え |
|---|---|---|
| USD価格差 | |2,400.00 − 2,388.00| | $12.00 /oz |
| USD建て損失/lot | 12.00 × 100 | $1,200 /lot |
| 口座通貨損失/lot | 1,200 × 150.00 | 180,000円 /lot |
| raw lot | 20,000 ÷ 180,000 | 0.1111… lot |
| 切り下げ後のlot | 0.01刻みで切り下げ | 0.11 lot |
| 推定損失 | 0.11 × 180,000 | 19,800円 |
確認の型
金の計算でずれる最大の原因は、契約サイズ(oz/lot)やpip/pointの定義を思い込みで進めることです。SG Groupの計算機にはXAUUSDのプリセットがありますが、これは起点であって最終値ではありません。次の3段階で自分の業者仕様へ照合してください。
XAUUSDプリセットで、oz/lotや換算のたたき台を読み込みます。あくまで一般的な初期値です。
contract size・tick size・tick value・profit currency・volume step・minimum lotを、利用する業者の公式契約仕様で確認します。
プリセットと違う値があれば、Customに自分の契約仕様を入力して計算し直します。プリセットのまま進めません。
この3段階の狙いは、「一般的な値」と「自分の口座の値」を必ず分けて扱う習慣をつけることです。金は業者差が大きい商品なので、確認を一度挟むだけで桁ずれの多くを防げます。株価指数やBTCなど、契約サイズがさらに商品ごとに異なるCFDの考え方はCFDのロット計算方法で扱います。
ここまでの価格差・oz/lot・換算・lotは、無料ロット計算機にXAUUSDのプリセットまたはCustomの契約仕様を入力すれば、自分の条件でそのまま確認できます。本記事は答えを隠した代替ではなく、あなた自身の条件で計算し直すための下準備です。まずは単一ポジションを無料で確認してください。
回避
金のロット計算でつまずく型は、いくつかに集約されます。心当たりがあれば、その項目が見直しの入口です。
実務チェックリスト
次の項目を、注文の前に一度ずつ確認します。合否や売買判断を出すものではなく、金のロット計算での見落としを減らすための手順です。
段階
この記事で扱った単体のXAUUSDのlot・想定損失・必要証拠金は、無料の範囲で確認できます。単体計算では解けない課題が出てきた地点で、上位の機能を検討する、という段階設計です。機能名・提供範囲・料金は変わり得るため、最新はプランページを唯一の正としてご確認ください。
金は他のドル建て資産と同時に動きやすく、複数ポジションを持つと偏りが効いてきます。合算リスク・相関・通貨偏りの考え方は複数ポジションの合算リスク計算で解説しています。単体の確認で足りるうちは無料の範囲で十分です。
FAQ
まとめ
XAUUSD(金)の損益は、USD価格差(USD/oz)×oz/lot×lotで求め、円口座はさらにUSD/JPYを掛けます。数量を決めるときは逆算して、lot=損失予算÷(USD価格差×oz/lot×USD→口座通貨換算)です。要点は、FXの100,000通貨や「1pip=一定額」を持ち込まないこと、そして1lotが何オンスかは業者仕様が最終基準だということです。
実務では、(1)oz/lotと契約仕様を業者の公式で確認する、(2)USD価格差を基準に損益を計算する、(3)円換算の向きを間違えない、(4)rawなlotをlot step単位で切り下げる、(5)必要証拠金を損切りリスクと別に見る——この5点を押さえれば、金のロット計算での桁ずれは大きく減らせます。
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LC08:CFDのロット計算方法|JP225・US30・US100・BTCUSDの契約サイズとpoint価値 — 金と同じく契約サイズが商品ごとに異なる株価指数・暗号資産CFDで、point価値からロットを求める方法を確認できます。
参考資料
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